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私は作物を育てる際に、えひめAIを愛用しています。

このような微生物資材は、有用微生物の働きにより、作物の生育を促進させたり、有害微生物の繁殖を防ぐといった様々な働きがあるとされています。

実際に使ってみて、作物の生育は、よくなっていると実感します。

その反面、病害虫についてはさほど実感はわきません。

特に、病害菌は私たちの目に見えないので、被害が出るまで実態がよくわからないですね。

今回は病害菌の側にスポットをあて、彼らの特徴をよく知ることで防除に役立てないか考えてみたいと思います。

病害菌の侵入経路

まず、侵入経路についてですが、病害菌の作物への感染は大きく分けて2つあります。

一つは、空気伝染性の菌による感染で、もう一つは土壌からの感染です。

空気伝染性の菌というのは、風とか、昆虫の体の中とか、水に潜んでいて、これを媒介にして植物に感染します。エンドウうどんこ病

例えば、うどん粉病や、アブラムシからのウィルス病などがこれにあたります。

空気伝染性の菌は、短時間に急激に広範囲に広がるのが特徴です。

その代わり、これらの菌が繁殖能力を持っている期間は短く、数日から数週間に過ぎません。

もう一つは、土壌伝染性の菌。

根こぶ病や青枯れ病などです。

病気が広がる速度は、空気伝染性より遅いです。

その代わり、寿命が長く、数年から10数年生き延びます。

土壌病害菌

土壌の病原菌は、多くはあまり土の中で活発に動き回りません。

また、多くの場合、土壌は菌の栄養がほとんどない状態です。霜にあたったジャガイモ苗

従って、病原菌は、普通は休眠状態にあります。

それが、植物の根が伸びてきて、病原菌の近くまで到達したら活動を始めます。

根の近くは根圏といって根から出る有機物により、微生物の餌が増えているのです。

そのため、これを栄養にして微生物が繁殖します。

その中には、植物に有用な菌もいれば、病原菌もいます。

しかし、病原菌は一般に有用菌や他の菌に対して弱いので、競合しても勝てません。

従って他の菌がたくさんいるところでは繁殖できません。

逆にリサージェンスというのもあります。

病気を防ぐために、殺菌剤を散布したら、他の菌まで死んでしまい、その殺菌剤に抵抗力を持った病原菌が却って繁殖してしまうという現象です。

こうしたこともあって、菌は色んな種類が、豊富に存在していることが良いとされます。

そのためには、堆肥などの菌の餌となる資材を導入するのが望ましいです。

えひめAIなども、菌が活動しやすくするするための栄養分を与えている効果もあるのではないかと思われます。

植物への肥料については?

微生物への栄養分は、主に有用微生物を増やす働きがありそうです。

では、植物そのものへの栄養分、すなわち、肥料についてはどうでしょう?

よく肥料、特に窒素を与えすぎると病気にかかりやすくなるといいますね。

人間でも食べすぎて肥満になると、病気にかかりやすくなるので、感覚的には納得できます。

が、その理屈は?というと今ひとつよく分かりません。

そこで、今回改めて調べてみました。

その結果は、3つくらい理由がありそうでした。

共生菌の働き

まず、一つは共生菌。

多くの植物には、菌根菌という菌が根に侵入して共生します。

あと、豆科の植物には根粒菌という菌の共生も有名ですね。

これらの菌は、植物の根から栄養をもらう代わりに、土壌中のリンや空気中の窒素を、植物がとり込みやすくする働きを持ちます。

また、それ以外にも様々な働きがあります。

・病原菌が侵入しようとするときに、これらの菌が存在することで、物理的に障壁となる。

・病原菌に対する抗生物質を放出する。

・植物の生育を旺盛にして抵抗力をつけ、植物が抵抗物質を出しやすくする。

等々です。

ところが、土壌中に窒素やリンが豊富に存在していると、植物はこれらの菌をを必要としなくなります。

そして、これらの菌も植物に共生しなくなります。

その結果、上記のような防除効果が失われて、病気にかかりやすくなるというわけです。

それでは、なぜ土壌の窒素やリンが豊富だとこれらの菌が共生しなくなるかというと、今ひとつよくわかりませんでした。

カルシウムの働き

肥料により、病気にかかりやすくなる別の理由として、カルシウムも考えられます。

カルシウムは、植物を病気から守るのに大切な働きを持っています。

一つは、細胞壁を強くして、病害菌の侵入を防ぐこと、

もう一つは、病原菌が侵入したときにこれを感知、対応する際、情報伝達物質として働くことです。

しかし、カルシウムは他の元素、窒素、マグネシウム、カルシウムなどと拮抗作用を持ちます。

すなわち、これらの元素が土壌中に多量に含まれていると、カルシウムがあっても取り入れにくくなります。

従って、その結果として病気に対する抵抗力が失われると思われます。

根の活力

最後の一つとして、根の活力があります。セイタカアワタチソウ根

多肥になると根の活力が衰えます。

根で働いている遺伝子の多くは、病原菌に対して抵抗するためのものとされています。

従って、根の活力が衰えると、抵抗機能が弱まり、病原菌も侵入し易くなります。

これも感覚的にはなんとなく分かりますが、突き詰めて考えるとよくわかりません。

以上、調べてみると新たにその分、わからないことも一杯出てきて面白いものですね。

また、新たに分かったら再び取り上げてみたいと思います。

p.s.

多肥で病気が抑制される場合もあります。

ほうれん草の根腐れ病は、pHが中性で硝酸性窒素の濃度が低いと多発します。

従って、肥料をたくさん投入すると病気が発生しにくくなります。

何事も、時と場合によっては反対の結果も得られるものですね。

 

参考にした本

瀬戸昌之 環境微生物学入門 朝倉書店

土壌微生物研究会編 新・土の微生物(1) 博友社

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