野菜栽培の中でも、土作りとか施肥設計は計画的に行わなければなりません。

そのためには、現在の土壌の状態がどうか、望ましい土壌の状態とどのくらい差があるかを、知らなければなりません。

それも、ただ単に、「フカフカの土」といった漠然としたものではなく、数値化した客観的な指標で判断する必要があります。

とはいうものの、土に関する指標はたくさんあります。

チッソ、リン酸、カリといった土壌成分であればまだしもですが、CECとか、pH、EC、pF・・・とアルファベットで略されると訳わからんですね。

(余談ながら、チッソ、リン酸、カリといった化学成分も侮れません。

例えば、肥料のリンといっても、リンと表現するかリン酸と表現するかによって数字は変わってきますし、そのリン酸も可溶性かク溶性か?とか細かく考えるときりがありません。

が、今回はその議論は省略します)

今回は、土壌の色んな指標のうちでも、最も基本的なpHについて取り上げて見たいと思います。

pHとは

私を含めて、ひと年取った人はpHをペーハーと読みます。

ドイツ語読みです。

今の人はピーエッチと習うらしいです。

英語読みです。

別にドイツ人に肩入れするわけでもないですが、ペーハーのままでなぜいけないのかな?とも思います。

それはともかく、pHとは、ざっくり言えば水に溶けている水素イオン濃度のことです。
(これも細かく言えば色々ありますが、あくまでざっくりとした説明です)

pHは、酸性かアルカリ性かの指標です。

7を真ん中の中性として、これより小さければ小さいほど酸性が強くなり、7より大きければ大きいほどアルカリ性が強くなります。

土は基本、固体ですが、pHは液体の値なので、土を一定量の水に溶いたときの値を測定します。

棒を土に刺すと数字が出てくる手軽な装置もありますが、本来の定義上は上記の液の値となります。

なぜpHを知ることが重要か

pHを測定する目的は、単純ながら野菜の生育に影響するためです。

もう少し具体的にいうと、pHが適正でなければ、根の障害が起こったり、養分の吸収がうまく行われなかったり、土壌中に住む微生物のバランスが崩れたりまします。

微生物の方は今回は省略して、まず根の障害について述べると、根はpHが低くなりすぎる(酸性が強くなる)と、障害を受けます。

これは、低pH自体(水素イオンによるもの)も原因となりますが、それよりも、アルミの溶け出しの方がより影響が大きいです。

土の中には、多くのアルミが土壌鉱物として存在しており、これがpHが低くなることによりアルミニウムイオンとして水に溶け出していくのです。

そして、アルミイオンが溶け出すと、カルシウムやマグネシウムが吸収できなくなります。

また、リン酸と結合して、リン酸も吸収できない形に変わります。

さらに、土壌の保肥力が低下して、肥料分を投入しても、雨水などで簡単に流亡しやすくなります。

さらにさらに悪いことに、一旦アルミニウムイオンが溶け出すと、それが最終的に水酸化アルミまで変化していくのですが、その過程でさらにpHが低くなっていきます。

そういうわけで、過度な低pHは様々な問題があるわけです。

では逆に、アルカリ性(高pH)が強すぎると、生育に悪影響を及ぼすでしょうか?

試しに、石灰だけを培土にしてピーマンやトウモロコシなどの苗を育てた人がいますが、特に障害は出なかったそうです。

ただし、最後まできちんと育てようとすると、養分吸収に問題が生じます。

土壌中のpHによって、肥料成分の溶け出し方が変わってきます。

アルカリ性が強すぎると、リン酸やホウ酸、鉄、マンガン、亜鉛などが吸収しにくくなります。

従って、pHが高すぎても低すぎても問題が生じるということで、植物の生育にとっては最適なpHがあります。

具体的な最適値は、その植物の種類によって異なります。

メジャーな植物では、

スイカ、ジャガイモ・・・5~6.5

トマト、ナス、レタス、ネギ、カリフラワー・・・6~6.5

そら豆、ハクサイ、ホウレンソウ・・・6.5~7

くらいになります。

pHの変動要因

土壌のpHを動かす要因は沢山あります。

1)雨水

空気中に含まれる、二酸化炭素の中の一部が、雨水の中に溶け込みます。

そして、水と二酸化炭素が反応して、炭酸を作ります。

炭酸は弱酸性(pHは5.7)です。

従って、雨が多いと酸性になります。

2)肥料

硫安、塩安などの肥料により、土は酸性化します。

例えば硫安は硫酸アンモニウムですが、このうちのアンモニウムの方が窒素肥料として主に吸収され、硫酸の方が残りやすくなります。

これにより、土壌は酸性となります。

また、過リン酸石灰などの肥料はそれ自体が酸性の肥料です。

逆にアルカリ性肥料としては、炭酸カルシウムや、ようりんなどがあります。

ついでながら、尿素や硝酸アンモニウムは中性です。

3)微生物

微生物の活動が不活発だと、酸性となりやすい傾向があるようです。

4)環境汚染

大気汚染物質である亜硫酸ガスや窒素酸化物ガスがあると、雨水で土壌に溶け込んでいき、酸性化します。

同様に、工場廃水などもpHを変化させます。

これは、酸性側、アルカリ性側のどちらになるか、工場の種類によります。

もっとも、最近は環境規制が厳しいので、これらがさほど大きな影響は与えないとは思いますが・・・

5)植物の出す有機酸

植物は、土壌から肥料分を吸収しやすくするために、根から有機酸を出します。

有機「酸」ですので、これは酸性方向となります。

こうしてみると、いろんな変動要因が酸性の方に傾きやすいようですね。

矯正方法

多くの場合、酸性を弱めるためには、石灰を入れるのが一般的です。

しかし、入れすぎて石灰過多になっている圃場も多いのが現状です。

やはり、土壌分析が必要です。

その上で、石灰、マグネシウム、カリウムをバランス良く投入します。

割合としては、土壌成分がだいたい5対2対1くらいになるようにします。

pHの緩衝能

雨水等々のpHの変動要因が起こっても、それですぐにpHが上がったり下がったりせず、変化を吸収してくれると助かります。

これを土壌緩衝能といいます。

例えば、土壌鉱物のアロフェンは緩衝能が高いとされています。

この物質は、酸化ケイ素と酸化アルミと水がくっついたような鉱物です。

周囲がアルカリ性になると、水素イオンを放出してpHの上昇を抑えます。

逆に、周囲が酸性になると、水酸化物イオンを放出してpHの低下を抑えます。

土壌としては、黒ボク土ではこうした緩衝能が高くなります。

また、有機物が豊富な土壌でも緩衝能は高くなります。

pHの矯正には、こうした緩衝能も考慮する必要があります。

この緩衝能に強く関連するのが、CECという指標です。

そこで、次回はCECについてまとめてみたいと思います。

まとめ

土壌の評価指標の中でも、pHは最も基本的なものの1つです。

pHが高すぎても低すぎても、植物の健全な生育に悪影響を及ぼします。

適正なpHはその植物によって種々異なりますが、概ね弱酸性が望ましいです。

pHを変動させる要因は、雨水とか与える肥料など、いろいろあります。

これにより、主に酸性側に変化していくことが多くなります。

これを矯正するには石灰などのアルカリ資材を使うことが多いですが、石灰過剰に気を使わなければなりません。

したがって、単純にpHを合わせるだけでなく、緩衝能を高めることが重要です。

参考にした本

吉田澪 やさしい土の話 化学工業日報社

武田健 だれでもできる養分バランス施肥 農文協

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