夏野菜の収穫シーズン真っ最中ですが、それとともに秋野菜の準備も始めている頃かと思います。

耕耘、施肥、その他もろもろの作業に追われているかも知れませんね。

そして、土をいじくっていると、色んな生き物を見かけるかも知れません。

ダンゴムシとかカエルとか、その他名も知らぬ生き物たち。

というわけで、今回は畑の土壌動物についてです。

主な土壌動物

土壌動物に明確な定義はありません。

土壌に住む、動く生き物といった程度の意味です。

従って、大型の生き物ではヘビとかモグラとかから、小型ではミジンコとか原生動物まで含まれます。

ただし、私たちが比較的よく見る、あるいはイメージする土壌動物といえば、そんなに大きくも小さくもないものと思います。

ざっとあげてみると、

ムカデ、ダンゴムシ、クモ、ワラジムシ、ヤスデ、トビムシ、ゴミムシ、ハネカクシ、いろんな昆虫の幼虫、ヒル、ゲジゲジ、アリ、カエル、ナメクジ

といったところかと思います。

こうして名前をあげると、どんなのか思い浮かばないというのが半分くらいと、気持ち悪い、と思うのが半分くらいでしょうか。

私たちにとっても、土壌動物たちにとっても、お互い不幸かも知れませんね。

土壌動物の役割

私たちにとっては、土壌動物そのものよりも、彼らが畑で何をしてくれるか、どのようにしたら増えたり減ったりするか、に興味があるかと思います。

彼らの担う役割は、大きく分けて二つあります。

一つは、土を耕してくれることです。

地中を動き回ることによりトンネルができ、植物の根が張りやすくなったり水はけが良くなったりします。

また、いくつかの土壌動物は、地上の有機物を地中に引っ張り込みます。

それがいろんな過程を経て微生物に食べられ、土が豊潤になります。

もう一つの働きは、上記とも関連しますが、土壌動物は有機物を分解します。

例えば、落ち葉が土の表面に積もったとします。

土壌動物がいなければ、微生物だけではなかなか分解しきれません。

しかし、ミミズやヤスデなどの土壌動物がいることにより、これを食べ、その糞を微生物が利用してさらに分解します。

そして、それが植物の栄養として再利用しやすい形となります。

土壌動物の多様性

上記以外の効果としては、一部の土壌動物は肉食で、害虫を食べる効果もあります。

ただし別の一部の土壌動物は植物を食べる害虫なので、良いとも悪いとも、どちらとも言えません。

さらに、別の一部は腐食性で落ち葉や動物の死骸、糞などを食べます。

しかし、このように、いろんな種類の生き物がたくさんいること自体が土壌の健康の面では重要とされています。

多様な生き物がいると、結果として害虫や気象災害の被害が少なくなります。

害虫を食べる土壌動物や餌の奪い合いが起こるためです。

また、自然災害も一部がやられても、一部が生き残って速やかに修復される効果もあります。

農法と土壌動物

一般に慣行農法だと土壌動物は数も種類も少なく、有機農法とか自然農法だと多いとされています。

その理由は、慣行農法だと土壌有機物が少なかったり農薬で駆除されたりするためです。(土壌動物を狙って農薬を撒くことは少ないですが)

個々の農作業に関しては、例えば施肥や灌漑は土壌動物を増やします。

これは作物の生育をよくし、餌や日陰を供給するためです。

連作は土壌動物の種類を減らします。

特定の種類の植物しか育っていないため、その環境にあった土壌動物も限られてしまうためです。

あとは農薬も。

殺虫剤は土壌動物を直接殺すので、減る方向となります。

除草剤は、地面を露出させることによって地表に直射日光をあてたり、土を乾燥させたりするので、やはり減らします。

殺菌剤については、銅を含むような薬剤では減らすことが確かめられています。

その他については、調べてもよくわかりませんでした。

土壌動物を観察しよう

気持ち悪く思える土壌動物ですが、土を耕してくれたり、有機物を分解したり、実は重要な働きをしています。

だとすると、自分の畑でもどんなのがいるか知りたい、と思うのは人情。

というわけで、観察してみましょう。

土壌動物の調べかた

土をちょっといじくるだけで、なにがしかの土壌動物が見つかるかと思います。

とは言え、どんな生き物がどのくらいいるか、どうせ探すなら、もう少し体系的に調べてみたいですね。

その際には、まず一定の面積、例えば50センチ四方程度を区切ります。

スコップ等で、その区切りに沿って表面の土をとり、袋に入れます。

そして、取ってきた土を、下に白い布を敷いてふるいにかけます。

ある程度の量、ふるいにかけると、しばらくそのままにしておきます。

そうすると、布の上の粒から、土壌動物が這い出してきます。

これを観察します。

写真に撮ってみたり、本格的に調べてたいなら、ピンセットなどでつまんでアルコールに入れて保存します。

採取し終わったら、ふるいに残った土を白い布の上にのせて、同様に土壌動物を採取します。

以下ふるいを通す~採取するの繰り返しです。

こうして採取した土壌動物は、図鑑で確かめてみましょう。

ポイントは、

・足の数

・殻の有無

・羽根の有無

・その他の形

・大きさ

・動きかた

これらに沿ってざっと分類します。

調べる際には、ムカデなどに刺されないよう気をつけましょう。

農地の主な土壌動物とその評価

目に見えるサイズの土壌動物としては、ミミズ、一部のダニ、クモ、ワラジムシ、ヤスデ、ムカデ、トビムシ、ゴミムシ、ハネカクシ、昆虫の幼虫等々がいます。

どんな土壌生物がどの程度いるかにより、その農地の状態を確かめます。

前回も述べた通り、慣行農法では有機物が少ないため、土壌動物は少ない傾向となります。

個々の土壌動物でいうと、ミミズ、ヤスデは有機物の分解能力が大きいです。

したがって、これらがたくさんいるということは、それだけ有機物がたくさん圃場にあることを意味します。

クモ、ムカデなどの捕食性動物が多いと多くの土壌動物がいるということに相当。

ゴミムシや、ハネカクシの一部も肉食なので同様です。

ヤスデ、オオムカデ、フナムシなどは環境の変化に弱いです。

したがって、これらを見つけると、よく言えば環境に優しい農業をしており、悪く言えば管理が甘いようです。

あとは、ざっと害虫、益虫の区別もつくようにしたいですね。

上述のとおり、クモ、ムカデ等は捕食性動物で害虫を食べてくれます。

見つけても踏み潰さないようにしましょう。

逆に草食性はガの幼虫とか、一部の甲虫、一部のカメムシなど。

こちらは踏み潰しても気にしないようにしましょう。

ただし、甲虫やカメムシなどは捕食性もいるので一概には言えません。

それぞれにつき判断するようにしましょう

基本的には大部分が腐食性、すなわち枯葉や動物の死骸などを食べるので益虫と思っておきましょう。

あと、農作物との関連も重要ですね。

収穫量や作物の育ち具合とこのような土壌生物の種類や数とを関連づけて記録して行きましょう。

シーズン後に見直してみれば、貴重な情報となるでしょう。

まとめ

土壌動物は、身近にいる割にはあまり馴染みがありません。

微生物や昆虫よりもずっと調査が遅れている分野です。

ですが、土壌動物はこれまで述べてきた通り、非常に重要な働きを担っています。

したがって、これら土壌動物の知識を深めて栽培を行えば、他の人よりも一歩先んじた農作物管理ができるかもしれませんね。

参考にした本

渡辺弘之 土壌動物の世界 東海大学出版会

青木淳一 やさしい土壌動物のしらべかた 合同出版

金子信博 鶴崎展巨 布村昇 長谷川元洋 渡辺弘之 土壌動物学への招待 東海大学出版会

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