%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%83%89%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%88 根は、言わずと知れた、水分や栄養分を吸収する器官です。

主に根毛から水分を摂取すると言われています。

しかし、これとは逆に、根毛の寄与はさほど大きくないとの説もあります。

それよりも、菌の働きの方が強いということです。

つまり、植物の根には菌が共生していて、これが水分や他の養分を吸収する手助けしているというのです。

このような菌をエンドファイトといいます。

そこで、今回はエンドファイトについてです。

そもそもエンドファイトとは

エンドは中、ファイトは植物という意味。

つまり、植物の中で生活している生き物で、その中でも特に微生物を指します。

また、病害菌はエンドファイトとは呼ばず、植物とお互いに助け合って共生して生きているものを指します。

このような共生菌で有名なのは、根粒菌と菌根菌。

根粒菌はマメ科の植物に感染し、根にこぶを作り、そこに住んでいます。

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そして、大気中の窒素をアンモニアに変えて植物に供給します。

その代わりに、植物が光合成で得た有機物をもらうという、共生関係を築きます。

菌根菌は、特定の植物に限らず、いろんな植物の根に感染します。

根粒菌と同様、植物から有機物をもらいます。

その代わりに、菌糸が根の先から伸びることにより、水分やリン酸を植物に送りこみます。

これらの菌も、エンドファイトの一種です。

ただし、これらはそれ自体が一つの独立した研究分野として確立されています。

従って、エンドファイトという際には、これらの菌を含めないことが多いです。

よく見つかるエンドファイトは糸状菌(カビやキノコの仲間の中の一種)が多いです。

栄養のない土壌や乾燥している条件など、悪い環境の場合は、ほとんどの植物がエンドファイトと共生しているとも言われます。

こうした場合、普通の根よりもエンドファイトの菌糸の方がより広範囲に伸びています。

また、その植物の根よりもエンドファイトの菌糸の方が重量もあるようです。

私たちが気づかずに根と思っていたものが、実はエンドファイトだったということもよくあるようです。

エンドファイトの働き

エンドファイトは、上述の菌根菌と似たような働きがあります。

菌糸が根の先から伸びることにより、水分や養分を取り込んで植物に送ります。

栄養分としては、リン酸の他に窒素も供給することができます。

また、菌根菌はいくつかの植物には感染しませんが、そうした植物にもエンドファイトは感染します。ざ雑草

また、特徴的なのは、別々の植物同士をエンドファイトの菌糸が繋ぐことです。

これにより、異なる植物間で栄養のやり取りをすることができるます。

異なる植物間というのは、同じ種類だけでなく、全く別の種類の植物でもやりとりできます。

栄養面だけでなく、エンドファイトにより、高温や乾燥条件などの劣悪環境にも強くなることも知られています。

さらには、病害虫にも強くなることが知られています。

これ以外で重要な効果として、病害虫にも強くなることが知られています。

病害菌に対するメカニズムについてはよくわかっていませんが、植物の病気への抵抗反応が早く起こることが一因と考えられています。

人間でも、ワクチンを摂取すると、その病気に対して抵抗力を持ちますが、そんなものなのかもしれませんね。

青枯病やつる割れ病、根こぶ病などに効果が認められています。

防虫効果については、エンドファイトが出す物質、あるいはエンドファイトが感染することにより植物が出す物質が、植物の身を守るためと言われています。

ただし、この場合は必ずしも望ましくない可能性もあります。

このような物質が、昆虫だけでなく、哺乳類に対しても中毒症状を起こすことも考えられます。

以前には、飼料用の牧草にエンドファイトが感染することにより、それを食べた牛が中毒になることもありました。

しかしこれについては、最近は、防虫効果のある物質と哺乳類に害を及ぼす物質が異なるものであることが確認されています。

そして、防虫効果のみをもたらすエンドファイトが利用可能となっています。

エンドファイトに感染させるには

上記の通り、エンドファイトには非常に多くの効能があることがわかってきました。

とすれば、これが利用したいと思うのが人情です。

エンドファイトに感染してもらう最適の条件は、一言で言えば、森林のような状態です。

つまり、いろんな種類の植物が生えていて、その枯葉や残渣などの、有機質が豊富だと増えます。

ここでの有機質としては、特に植物性の有機質が有利です。

逆に、肥料分、特に硝酸態の窒素が土壌に多く含まれると、共生しにくくなります。

土壌中の糖分が多く含まれても、やはり共生しにくくなります。

これらがあると、エンドファイトはわざわざ根に入らなくても土壌の中で生育できるようになります。

土壌中の窒素分でも、アミノ酸の状態の窒素であれば共生しやすくなります。

また、酸性土壌で共生しやすいこともわかっています。

畑地を上記のような状態にするとすれば、自然農法や有機農法が向いているといえます。

化学肥料をたくさん施す慣行農法ではエンドファイトは利用しにくいです。木々

そこで、この場合は育苗ポットに摂取する方法が提案されています。

すなわち、育苗中の苗を森林土壌などに突っ込んで、感染させます。

たね菌を採取するための苗には、ナス科やアブラナ科の野菜がよいようです。

逆にウリ科の野菜は感染しにくいです。

<まとめ>

エンドファイトとは、植物と共生する菌のことです。

植物は、エンドファイトに感染することにより、栄養分を受けとりやすくなったり、劣悪な環境に耐えられるようになったり、病害虫に強くなったりします。

このような様々な効果が認められる一方、植物の生育には影響がないという場合や、かえって生育が抑えられるといった場合もあります。

エンドファイトは最近脚光を浴びてきたばかりで、まだわかっていないことだらけです。

いち早く導入してみるのと、意外な効果が現れて面白いかもしれませんね。

<参考にした本>

成澤 才彦 エンドファイトの使い方 農文協

種生物学会編 農業と雑草の生態学 文一総合出版

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糸状菌

窒素の循環と微生物