イモムシ

これからどんどん植物が成長する季節ですね。

それに伴って害虫も増えてきます。

害虫を防除するためには、相手のことをよく知らなければなりません。

敵を知り、己を知らば百戦危うからず。

そこで今回は、害虫の形態と分類について述べてみたいと思います。

そもそも昆虫って?

まずは、小学校で習った理科の授業のおさらいをしてみましょう。名も知らぬ虫2

昆虫の体の構造はどうなっていたでしょうか?

大きく、頭、胴、腹に分かれていましたね。

足は6本で、胴にくっついています

胸やお腹に気門があり、ここで呼吸をします。

多くが硬い殻に覆われています。

人間は体の中に骨格がありあすが、昆虫は外に骨格があります。

これは乾燥や傷害から身を守るのに有利です。

その一方、成長して大きくなる邪魔になるという問題もあります。

そのため、多くの虫は幼虫の段階では柔らかく、脱皮して変態して成虫になります。

それでも哺乳類のように1mを超えるような大きな虫はいません。

その代わり、小さいことを利用して、空を飛びやすくなっています。

鳥類も空を飛べますが、体が大きい分かなり無理をしています。

体を軽くするために骨は中空になったり、多大なエネルギーが必要のため、体温が高くなったり。

また、虫は感覚器官も充実しています。

ご存知の通り触角がありますが、この役割は様々で、触覚(熱や接触)、聴覚、嗅覚、などを感知します。

目もたくさんあります。

単眼が三つあります。(昔の漫画の「三つ目が通る」の主人公のような感じ)

その両側の目の横に複眼があります。

このように見ていくと、非常に機能的な体を持っていることがわかります。

そのせいか、我々哺乳類と同様、最も進化したグループとして繁栄しています。

さらに、昆虫は、その仲でも非常に多くの種類がいます。

動物のすべての種類のうち、4分の3が昆虫と言われています。

これを大雑把に分けると、甲虫のグループ、チョウのグループ、ハエのグループなど30種類程度に分類できます。

農業害虫

農業を行う上で問題となる昆虫は、半翅目とか、鱗翅目といった種類がメインとなります。

半翅目はカイガラムシ、アブラムシ、ウンカ、ヨコバイ、カメムシなど。ダイコンアブラムシ

鱗翅目はヨトウガ、メイガ類、ネキリムシ、アオムシ、アゲハなどです。

半翅目の害虫の特徴は、成虫が植物の樹液を吸うことです。

そのため、針状の口を持っています。

また、幼虫と成虫の体の変化が少ないです。

鱗翅目の害虫の特徴は、主に幼虫が茎葉を加害します。

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いわゆるイモムシです。

これが、蛹になって、蝶や蛾に変態します。

以上述べたところから、害虫防除について考えてみると、まずは牛乳、油などをかけるて気門をふさぐという対策が知られています。

また、成虫になったらなかなか防除しずらいため、幼虫の時点での早期防除が必要であることがわかります、

なかなか弱点が少ない強敵ですが、相手のことをよく知って上手くつき合っていきたいものです。

ところで、害虫とは

上記のように十把一絡げに害虫云々と述べてきましたが、そもそも害虫とはどんなのを言うのでしょう?

農業に限って言えば、害虫とは主に植物を食害したり、病害菌を媒介するもの、

益虫とは病害虫を防除したり、花粉を媒介したり、虫そのものやその生産物を利用できるもの、となります。

しかし、この分類はなかなか難しい面があります。

状況によって変わることがあります。

例えば、イナゴはイネや他の植物を食べる厄介な害虫です。イナゴ

しかし、貴重なタンパク源として、佃煮にして食べられていました。

こうした面では、益虫と言えなくもありません。

あるいは、ちょっと変わったところでは、ラックカイガラムシというのもいます。

この虫は、昔はラッカーの原料として飼われていました。

しかし、化学工業の発達により、ラックカイガラムシは不要となり、ただの害虫となりました。

逆に益虫とされる昆虫でも、害になるものもいます。

例えば、ミツバチなどは、不用意に近づくと人間を刺すので気をつけなければなりませんね。

このように益虫、害虫は人間の都合によって変わります。

人間が害虫を作った

もっと言えば、人間が害虫を作り出した面もあります。

自然の状態では、いろんな虫が均衡を取り合っていて、特定の虫が極端に増えすぎることも減りすぎることもありません。

それが農地化して単一の作物を育てることにより、その作物を利用できる昆虫が繁殖します。

この繁殖が、過度に起こることが問題。

つまり、生息密度が重要となります。

例えば、昔は、田んぼにニカメイガというのがいっぱいいました。

イネを食害し、しばしば不作の原因ともなる重要害虫でした。

しかし、農薬やイネの品種改良もあって生息数が激減。

今は、少々いてもいなくてもどうでもいい虫となりつつあります。

益虫とされる虫でも、たくさんいたら問題があります。

ハチは上述した通り、人間が刺されるという危険があります。

てんとう虫とか、カマキリとかは、たくさんいても実害はあまり思いつきませんが、見た目が気持ち悪いという問題があります。

実際、うじゃうじゃと大量にいることにより、敵を不気味がらせて威嚇するという説もあります。

私も昔、トンネルマルチを張っていたら、その中でモンシロチョウが繁殖してしまい、うようよと飛び回っていたことがあります。

モンシロチョウは、一匹や二匹なら風雅なものと思えますが、大量にいたらと気持ち悪く感じたものです。

あとは、害虫のよくあるパタンとしては繁殖の過程で、遺伝的に変化することが多いです。

単一の農薬だけで防除していたらに耐性をもったり、本来はさほど好まなかった作物を好んで食害するようになったりして害虫化することがあります。

他に、帰化等で分布を拡大して害虫化することもあります。

原産地では問題にならなくても、帰化先で大繁殖して問題となります。

人間のアナロジーとしての昆虫

以上のように考えてみれば、人間も虫も同じという気がしてきます。群衆

害のあるだけの人、益のあるだけの人は基本的にはいません。

私たちは多かれ少なかれ、他人のためになっているとともに、迷惑にもなっていることでしょう。

また、集団で群れると被害は大きくなるところも気をつけるべき点ですね。

さらに普段は大人しい人が、急に切れて怒り散らしたりすると、周りの人はかなりの被害を受けます。

虫について詳しく知ることにより、私たちの普段の生活態度を振り返ってみるきっかけにもなりますね。

 

参考にした本

中筋房男 石井実 応用昆虫学の基礎 朝倉書店

日本植物防疫協会 植物防疫講座第3版 害虫・有害動物編 日本植物防疫協会

 

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