先日、若い会社員の方をコーチングしました。オフィス

その方の上司は、大変厳しいそうです。

どんなに一生懸命やっても仕事にダメ出しされます。

しかも、ダメ出しだけされて、具体的にどうしろというのかよくわからないとのこと。

色々と話を聞いてみると、本人よりも上司に問題があるように思われました。

よくある話ですが、自分に自信のある人ほど、他人の話に聞く耳を持ちません。

ただし、その若い会社員は、上司云々ではなく、自分に能力がないと思って悩んでいました。

従って、コーチングはその人のスキルアップというテーマで行いました。

私としては、上司とのつき合い方を考えた方がよいと思ったのですが。

 

この例のように、集団で生きていく限り、人は対人関係により様々な影響を受けます。

よい影響のみを受けるに越したことはないのですが、なかなかそうもいきません。

もしも、上記の会社員の方のように、それで自信をなくしてしまうのはいかにも勿体ないことです。

そうならないためにも、コミュニケーション能力を磨いて、自分の考えをしっかりと相手に伝えられるようになりたいですね。

とは言え、簡単に能力が高まれば世話はありません。

対人コミュニケーションに関しては、「人を動かす」という本が古典的名著とされていますが、これを書いたデール・カーネギーという人も、実はコミュニケーションが苦手でした。

コミュニケーション本を書くような人でも苦手なのですから、我々普通の人が下手なのも何ら不思議ではありません。

ですから、それが原因で引っ込み思案になったり、引け目を感じたりする必要は全くありません。

対人コミュニケーションに関しては、アサーティブネスという考え方があります。

相手を認め、相手に認められるべき権利

アサーティブネスでは、対人関係においてお互いに認めあうべき権利として以下の11個が提示されています。

1 私には、日常的な役割にとらわれることなく、一人の人間として、自分のための優先順位を決める権利がある。

2 私には、能力のある対等な人間として、尊敬されて扱われる権利がある。

3 私には、自分の感情を言葉で表現する権利がある。

4 私には、自分の意見と価値観を表明する権利がある。

5 私には、自分自身で「イエス」「ノー」を決めていう権利がある。

6 私には、間違いをする権利がある。

7 私には、考えを変える権利がある。

8 私には、「わかりません」という権利がある。

9 私には、ほしいものやしたいことを求める権利がある。

10 私には、他人の悩みの種を自分の責任にしない権利がある。

11 私には、周りの人からの評価を気にせず、人と接する権利がある。

このように、我々には自分自身を尊重するとともに、相手からも尊重される権利があります。

それは、相手がどんなに偉い人であろうが、金持ちであろうが同じです。

同様に、相手も同じ権利を持っています。

従って、自分も相手もお互いに、個々の尊厳を認めあって接することが必要となります。

そして、そのような土台に立てば、自分の意見が相手に押さえ込まれることもなく、逆に押し付けることもしてはなりません。

冷静に、率直に、相手に表現すべきです。

実践のためのテクニック

以上のようなことは、書くのは簡単ですが、実際に行うにはどうすればいいかわからないことと思います。

そのための実践的なテクニックについて、事例で見てみましょう。

高校生の我が家の長女の話を題材にしてみます。

長女は、部活で吹奏楽をしています。

先日、日曜日に部の合奏コンテストがありました。吹奏写真例

長女は演奏予定はなく、かつ家族で買い物に行く用事もあったため、不参加と言っていました。

しかし、数日前に突然、どうしても出て欲しいと部のメンバーから言われました。

長女は断りきれず、渋々予定を変更して行くことに。

 

こういうことはよくありますね。

相手が押しの強い人だと、なんだかんだと言っているうちに、ついつい言うことを聞かされてしまう・・・

上記の長女とその友達の会話を想像してみましょう。

友達「やっぱり、日曜日来てくれない?」

長女「え?行かなくてもよかったんじゃないの?」

友達「それが、みんな行かなきゃならなくなったの。お願い!」

長女「でも、用事があるから・・・」

友達「全員来ないと、私が先生に叱られるの」

長女「そう言われても、私にも用事が・・・」

友達「用事って何?」

長女「うん、まあ大したことでもないんだけど」

友達「じゃあ、その用事は別の日に変えれば?」

長女「でも・・・」

友達「来てくれないと、みんなに迷惑がかかるし。」

長女「・・・」

友達「お願い、あとで埋め合わせするから!」

長女「しょうがないなあ」

 

と、こんな感じでしょうか。

このような、強引な相手に対抗するのは、生半可なことではありません。

こうした時に相手に操られずに対処する実践的なテクニックは、粘り強く同じことを繰り返すこと。

「壊れたレコード」といいます。

これを柱に、いくつかの別のテクニックを混ぜます。

上の例で対応を考えてみましょう。

友達「やっぱり、日曜日来てくれない?」

長女「え?行かなくてもよかったんじゃないの?」

友達「それが、みんな行かなきゃならなくなったの。お願い!」

長女「でも、用事があるから・・・」

友達「全員来ないと、私が先生に叱られるの」

長女「そう言われても、私にも用事があるから無理。」(壊れたレコード)

友達「用事って何?」

長女「家族で買い物に行くことになっているの。ずっと前から決まっていたの、だから無理」(可能な範囲で自己開示、壊れたレコード)

友達「じゃあ、その用事は別の日に変えれば?」

長女「日曜日は行くって決めているから変えたくないの」(相手の意見に反論や言い訳をしない。自分の気持ちを開示)

友達「来てくれないと、みんなに迷惑がかかるし。」

長女「確かに迷惑がかかるかもしれないわね。でも、そう言われても、私にも都合があるの」(マイナスとなる事実を認める。その上で壊れたレコード)

友達「先生に叱られるわ。」

長女「私があなたの立場だったら確かに嫌ね。でも用事があるの」(相手の主張を認める。その上で壊れたレコード)

友達「お願い、部活のあとで何かおごるから!」

長女「それはいいわね!でも用事があるの」(同意できる部分の同意、その上で壊れたレコード)

友達「困ったわ!」

長女「そうよね。次の週の日曜日なら大丈夫なんだけどどう?」(妥協案を提示)

友達「そうね、そうするしかないか・・・」

 

いかがでしょうか?

自分の主張を繰り返す、「壊れたレコード」にプラスして、自己開示、相手の主張の認められる部分だけを同意すること、妥協案を提示することなどで、真っ向から対立せず、柳に風と受け流す感覚です。

話をしていると、相手に悪いという気持ちはどうしても出てきてしまいます。a0001_011478

それに、相手との関係を壊したくないという気持ちもあるでしょう。

でも、だからと言って、自分の立場をないがしろにしていいというものでもありません。

それに、関係を壊したくないのはお互い様です。

怒らず冷静に伝えれば、案外大丈夫なものです。

勇気を持って自分の考えをはっきりと伝えるべきです。

そのために、このような考えやテクニックを知っておき、日々実行できるように心がけておきましょう。

<参考文献>

マニュエル・J・スミス  「うまくいく人」の頭のいい話し方 徳間書店

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