SN3D0284 何度か、昆虫全般についてについて書いてきましたが、昆虫は、種類も多く、多様な生態を持っているので、昆虫全般の話だけでは不十分。

そこで今回は、各論に入っていきたいと思います。

特に、今回はハチについて調べてみました。

ハチは、昆虫の中でも極めて興味深い特徴をたくさん持っています。

しかも、農業にも密接に結びついています。

害虫としても、益虫としても、です。

いろんな種類の蜂

蜂の中で最も身近なのは、なんといってもミツバチですね。

ミツバチの作る蜜は、人類最古の甘味料として利用されてきました。

またミツバチは、農業上は花粉を媒介する昆虫として、いろんな果樹や野菜のハウス栽培などでよく使われますね。

ミツバチ以外に、農業上重要なのは、害虫の天敵としてのハチ。

ハチの中の多くの種類が、寄生蜂と呼ばれていろんな虫に寄生します。

そして、その虫の中で成長し、相手を食い殺します。

寄生の仕方を詳しく調べてみると、凶々しくも興味深いです。

寄生の仕方には、いろんなパタンがあります。

例えばハチの一刺しで獲物に針を刺して麻酔させ、獲物が動けなくなっている隙に体内に産卵します。

あるいは獲物の卵に産卵するものもいます。

さらには、獲物の外に産卵して孵化し、獲物がそこを通りがかった時に幼虫が取り憑くという地縛霊みたいなのもいます。

このような様々な取り憑かれ方をした獲物は、外見上は見分けがつかず、普通に生活しています。アゲハチョウ幼虫抜粋

しかし中のハチの幼虫は、ウジ虫のようにうごめきながら獲物の体を食べていきます。

獲物の体内が汚れると自分が困るので、排泄もしません。

そして、中の幼虫が大きくなって、蛹になる直前になって一気に排泄するとともに、バリバリと獲物を中から食い破って外に出ます。

そこで獲物はついに絶命。

怖いですね。

エイリアンみたいですね。

寄生しない、昆虫捕食性のハチもいます。

これもいろんな場合がありますが、興味深いのは上記と同じくハチのひと刺しで麻酔させた後、獲物を自分の巣まで運んで、そこでゆっくり食べるやつ。

獲物は、どの時点で麻酔から覚めるのかわかりませんが、運ばれている途中だったりしたら嫌ですね。

食べられる側になって想像すると身の毛もよだつほど恐ろしいことでしょう。

おお、怖い。

いかに益虫とはいえ、あまり仲良くなりたい気はしません。

害虫としての蜂

こんな恐ろしい奴ばかりでなく、草木を好む平和的なハチもいます。

この種類のハチは、我々の馴染みのふかいハチとは少し違い、毒針で人間を刺すこともありません。

が、草木を好むということは、植物を食害する害虫でもあります。

カブラハバチというハチは、ヨトウムシのようにアブラナ科の野菜の葉っぱを食べます。

あるいは、クリタマバチというハチは、栗の木の新芽に侵入してこれを食べます。

その結果、栗の実がならなくなります。スズメバチ

害虫としてのハチで、やはり一番怖いのはスズメバチ。

刺されたら、死ぬこともあります。

しかし、スズメバチは動物食で、主にチョウのような害虫を食べるので、益虫的な面もあります。

でも、人間を刺したりミツバチを襲ったりするので、害虫とされます。

寄生峰の中にもややこしいのがいます。

益虫の寄生蜂に寄生するハチというのがいます。

これは、やはり害虫ということになるのでしょうね。

ハチの社会性

ハチは、このように食べ物ひとつ取っても、とても多様です。

ミツバチのように、ほのぼのとしたイメージを抱かせるものから、寄生蜂のようにまがまがしいものまでいます。

しかし、ハチの最も重要な特徴としては、社会的な行動をとること。

これこそが、地球上でハチを大繁栄させている最大の要因です。

ちなみに、地球上には色んな動物がいますが、最も繁栄しているのは何だと思いますか?

ハチとアリとシロアリです。

これらで動物の半分以上を占めるとの推定もあります。

昆虫の半分ではありません。

我々人間を含めた動物全体の半分以上です!

ちなみに分類上、アリはハチの仲間。

シロアリはゴキブリの仲間。

ついでにいえば、アブはハエの仲間。

つまり、分類上の種の優劣というよりは、社会性を持っているかどうかが繁栄には重要とわかります。

実際、ハチの場合、社会性が非常に発達しています。

ハチの集団生活

蜂社会の主な構成員としては、女王蜂と働き蜂です。

働き蜂はメスです。

オスのハチは羽化した後、巣を離れます。ハチの巣

巣の中は、女王の部屋と働き蜂の部屋に分かれています。

女王蜂は繁殖担当、働き蜂はその他諸々の仕事を担当します。

その諸々の仕事とは、食料の調達と保存、子育て、巣作りと巣のメンテナンス、外敵からの防御、等々です。

食料の調達も、いわゆる八の字ダンスで餌のある場所を仲間に知らせることもできます。

人間の場合、衣食住が快適生活の基本ですが、ハチも快適な住まいとエサを共同で維持、管理しているわけです。

ちなみに、女王の住む部屋に働き蜂の部屋で生まれた幼虫を置くと、女王用の餌を与えられて女王になります。

逆に女王の部屋で生まれた幼虫を、働き蜂の部屋に置くと働き蜂になります。

つまり、女王蜂になるには特別な氏素性が必要なのではなく、育て方が肝心という事になります。

また、巣の中にいる女王蜂を取り去ってみると、普通の働き蜂の中の一匹が女王になることもあるようです。

人間社会とハチ社会

このようなハチの社会的行動を、我々人間の社会と比べるとなかなか含蓄があります。

例えば、ハチの場合は、オスはほとんど巣で貢献していませんが、人間のオスは・・・(下手に書くと、我が家のメスから攻撃されそうなので自粛)

また、ある種のハチの女王蜂は、働き蜂を触覚で叩いたり、お腹を揺すったりして威張るそうです。

その結果、叩かれた働き蜂は萎縮して、卵巣が発達しなくなり、子供の産めない体に。

女は怖いというべきか、暴君というのは人間にもハチにもいるというべきか・・・

ついでに言えば、女王蜂がいなくなって、働き蜂の中から新たに女王蜂になった時には、こんないじめはしません。

この場合は、苦労人の経営者を思わせます。アリ2

また、これはアリの話ですが、働きアリは2割ほどは働いていないとされています。

どこの組織にも、働かないものはいるものですね。

さしずめ釣りバカ日誌の浜ちゃんのような役割?

しかし、彼も実は会社に取って必要な人材らしい。

働かない働きアリも、外敵に襲われた時の戦闘要員として待機しているとの説もあります。

一見無駄に見えても、実はなんらかの形で社会や組織に役立っているのですね。

<参考にした本>

杉浦 直人、 阿部 芳久 ハチとアリの自然史 北海道大学図書刊行会

日本植物防疫協会 植物防疫講座第3版 害虫・有害動物編 日本植物防疫協会

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