特定農薬に指定

少し古い話ですが、今年(平成26年)の三月に農薬取締法の特定農薬が追加されました。

特定農薬というのは、有機農法などで化学農薬の代わりに使われる資材です。

農薬取締法では、認可を受けた農薬以外は全て使用禁止となっていますが、そうすると今まで安全に問題なく使っていた資材まで過剰に規制されてしまうことになります。

そこで、このような資材が認められています。

それで、いままで認められていたのは、重曹、食酢、土着天敵の3種類だけだったのが、新たに電解次亜塩素酸水とエチレンが追加されました。

この中で、電解次亜塩素酸水というのはあまり馴染みがなく、疑問に思われる方も多いのではないかと思います。

そこで、今回はこれについて調べてみました。

次亜塩素酸とは?

そもそも、次亜塩素酸とは何でしょう?

これは、化学式で書くと、HOClとなります。

水がH2Oですが、二つある水素Hのうちの一つが塩素、Clに変わったものです。

これは、主に消毒剤や殺菌剤、漂白剤として使用されます。

通常はナトリウムやカルシウムとくっつけて、次亜塩素酸ナトリウムとか次亜塩素酸カルシウム(別名さらし粉)として販売されていますが、次亜塩素酸そのものも売られています。

例えば、このようなもの

低濃度の水溶液として、取り扱われています。

 ある程度以上の濃度になると形態が変化してしまうためです。

 また、時間とともに、塩酸(HCl)に徐々に変わっていきます。

 次亜塩素酸自体は電気的に中性で、分子サイズも小さいです。

 従って細胞膜を通りしやすいという特徴があります。

 そして、細胞膜の中で酸化剤として働きます。

 細胞内にある、核とかリボゾームとかの色んな器官を破壊します。

 このような作用であれば、人体でも同じように害が出る気もしますが、実際にはほとんど毒性はないようです。

 まあ、程度の問題でしょうか。

電解した次亜塩素酸

 で、特定農薬としては、「塩酸や塩化カリウムを電解したものに限る」ということになっています。

 昔、電解水というのがはやりましたね。

 あの関係者の働きかけで、今回、特定農薬にすべく検討されたのではないかと思います。

 実際に、承認された経緯を見ると、電解水の業者からのデータの提供を受けているようです。

 そのため、申請した内容が塩酸か塩化カリウムを電解したものだけ、それ以外は検討されなかったものと思います。

こうした事情はさておいて、化学的にはどういったものでしょう?

 当時は、電解水では水がクラスター化するとか、表面張力が低下するとか色々いわれていました。

が、結局は電解により次亜塩素酸が生成して、これにより殺菌効果が生まれると証明されたそうです。

では、次亜塩素酸をそのまま投入してもいいのではないか、という疑問が生じます。

これについては、次亜塩素酸は時間とともに分解しやすいため、直前に電解してから使った方がよい、ということかもしれません。

 ただし、次亜塩素酸ナトリウムとか、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムといった金属塩であれば、安定性は高まると思われます。

ナトリウムは作物の害になるかもしれませんが量はわずかですし、カリウムやカルシウムは害にはなりませんし。

酸と混合すると、有毒ガスが出るといった、取扱い上の注意はありますが、それ以外には特に使えない理由は見つかりませんでした。

以上、私自身、いろんな疑問があったので調べてみましたが、解決した疑問もあれば解決されないものもありました。

最大の疑問は、特定農薬を使おうという人は、自然農法とか無農薬栽培とかに興味がある人が多いと思われますが、これを使いたいと思うのだろうか?という点です。

 これについては、結局よく分かりませんでした。

<参考にした本>

福崎智司 次亜塩素酸の科学 基礎と応用 米田出版

松尾昌樹 電解水の基礎と利用技術 技報堂出版

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