セイタカアワダチソウ間もなく秋分ですが、まだまだ日中は暑いですね。

雑草もだいぶ勢いが衰えてきて、今年の戦いも終盤戦となりました。

除草は昔は、基本的には人力中心でしたが、現在は除草剤という強い味方があります。

これにより、除草は格段に楽になりました。

しかし、敵もさる者。

除草剤に抵抗性を持つ雑草も出現しています。

今回は、これらの除草剤をめぐる戦いについてです。

まずは除草剤をよく知ろう

除草剤を嫌う人は多いですね。

農薬は何となく人体に悪い、環境に悪いというイメージが強いです。

しかし、逆に有益である点については、あまり喧伝されていないようにも思えます。

除草剤ができるまでは、人間が手で草を取っていました。

これは、大変な労力です。

当然、管理できる面積も限られるし、生産性も劣ります。

除草剤のおかげで、農作物が大量に生産でき、食べ物が多くの人にいきわたるようになりました。

さらに、現在の日本農業は高齢化が進んでいます。

高齢になると、草刈機を使ったり、耕運機を使うような作業でも結構な重労働です。

どうしても、除草剤に頼ることになります。

今や、除草剤がなければ日本農業は成り立ちません。

日本だけでなく、外国でも重要性は変わりません。

日本では、除草の代わりにトラクターで土を耕したりもします。

米国でも以前はそうでしたが、そのうちに農地の土壌浸食が問題となってきました。

耕すことにより、表土が露出して、風で飛ばされたり雨で流亡してきました。

そして、1930年代に激しい砂嵐が米国中西部を襲い、農地が深刻なダメージを受けました。

これを反省して、現在はほとんど耕耘せず、除草剤で対処するようになりました。

これはつまり、環境を守るために除草剤を用いているということになります。

安全性

安全性についても気になりますが、以前に比べると除草剤も随分安全になりました。

法律上は、ほとんどの除草剤が動物に対して毒性の低い「普通物」の扱いになります。ご飯を食べる人

アルコールとか、カフェインとかよりも安全というお墨付きです。

と言っても、こういった説明に不信感を持っている人も多いと思われます。

お上のご都合主義で安全と言っているにすぎない、というような。

こうした説明ではなく、除草作用の起こるメカニズムを説明した方が、まだ納得できるかもしれませんね。

ある除草剤は、植物が、光合成をする働きを抑える働きをします。

これにより、植物が栄養物を作り出すことができず、枯れていきます。

別の除草剤には、植物が光合成や肥料で得た養分を使ってアミノ酸を合成する働きを抑えるタイプもあります。

またまた別の除草剤は、光合成をするための色素の合成を抑えるタイプも。

光合成にしても、アミノ酸の合成にしても、動物は行いません。

植物が合成したものを食べるだけです。

従って、このような働きであれば動物には効きません。

以上、安全で環境にも優しく、作業も楽チンと、除草剤を賛美する内容ばかりになってしまいました。

しかし、抵抗性雑草の出現という落とし穴もあらわになってきました。

抵抗性雑草とは

最近の除草剤は、非常に除草効果が高くなっており、普通の(抵抗性のない)雑草は、除草剤により90〜99%が枯れるとされています。

しかし、抵抗性雑草は、除草剤を撒いても効果がありません。

除草剤を、通常の数10〜数100倍の濃度でまいても枯れません。

畑の雑草としては、ハルジオン、ヒメムカシヨモギ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、エノコログサ、オヒシバ、カラスムギなど多数あります。

また、最近は、複合抵抗性というのも問題になっています。

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スズメノカタビラ

これは、2種類以上の除草剤に対して抵抗性を持つものです。

一つの除草剤をずっと使っていて枯れなくなったので、別の種類の除草剤を使うと、それを使っても枯れないという厄介なものです。

畑の雑草では、スズメノテッポウやイヌビエなどでの報告例があります。

なお、通常の抵抗性とは別に、植物が生き残る場合もあります。

除草剤の残効期間を過ぎて発芽するとか、散布した時期と散布した時期の間に発芽するとかで、これは抵抗性雑草とは言いません。

抵抗性ができる理由

抵抗性雑草が出現する理由としては、二つの考え方があります。ホトケノザ一面

一つは突然変異で、除草剤を散布されて、植物がそれに適応できるように急速に変化していくという考え方。

もう一つは、散布される前から、もともとその除草剤に対して抵抗性を持つものがいたという考え方。

最近の資料をみると、二番目の方がより正しいということになってきているようです。

除草剤が散布されることにより、普通の(抵抗性のない)雑草が枯れていき、残った抵抗性雑草が、枯れた跡地で繁栄していくわけです。

抵抗性雑草の特徴

特徴として、多くは、一つだけとかごく少数の優性遺伝子により抵抗性が発現します。

そして、優性遺伝なので、交雑するとその子孫も抵抗性を持ちます。

さらに、そもそも雑草は非常にたくさんの種を作ります。

そういうわけで、抵抗性雑草のいる場所に除草剤をまき続けると、急速に広がりやすくなります。

しかし、抵抗性のあるものは、適応力が劣る場合が多いです。

つまり、除草剤に耐えられること以外は、抵抗性のない雑草よりも弱い傾向があります。

従って、除草剤を散布されなければ、その雑草は他の雑草に負けて繁栄できません。

しかししかし、ごく稀には適応力が抵抗性のないものと変わらないものもいます。

一旦散布されると他が枯れる分、余計によく育ち、しかも散布を止めても減らないという厄介なことになります。

抵抗性雑草を広がらせないためには

ある除草剤を使っていて、抵抗性雑草が発生したとすれば、さしあたりは別の作用で枯らす除草剤を用いることが考えられます。セイダカアワダチソウ

しかし、この場合は複合抵抗性を持ったものが出現するかもしれないので、注意が必要です。

他には、別の様々な除草方法と組み合わせることも考えられます。

草刈りや耕うん、燃やすなどです。

ただし、除草剤を撒いたあとに草刈りすると薬が根まで効かなくなって復活する可能性もあります。

また、耕うんすると、土の中で休眠していた雑草の種が表面に出てきて、新たに発芽する可能性もあります。

いっそのこと、普通の雑草よりも適応力が弱いため、何もせず放っておくと言う手もあります。

これにより、普通の雑草が優勢になる可能性が高いです。

しかし、普通の雑草が生いしげったら、何にもならないという気もします。

いずれにせよ決定打はなく、ある程度は大目に見るという懐の深さも必要なのでしょう。

まとめ

除草剤は、大変な重労働だった除草作業を楽にする、画期的な薬剤です。

安全性や環境に対する懸念も根強く残りますが、最近の農薬は以前よりはずっと安全になってきました。

ただし、抵抗性雑草の出現により除草効果が得られないこともあります。

自然は多様な個体の存在を好むので、やりすぎるとしっぺ返しを受けるということかもしれません。

雑草は、作物に害を及ぼさなければ少しくらい生えていても気にしない、というくらい、ほどほどに付き合う方がいいのかもしれませんね。

<参考にした本>

伊藤一幸 雑草の逆襲 全国農村教育協会

根本正之 冨永達 身近な雑草の生物学 朝倉書店


根本正之 雑草たちの陣取り合戦 小峰書店

日本雑草学会編 ちょっと知りたい雑草学 全国農村教育教会

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