畑をちょこまかと歩き回る鳥は、なかなか可愛いものです。

カラスや鳩のような害鳥でも、よく見るとなかなか愛嬌があります。

しかし、鳥の中でも最も私たちに馴染みがあるというと、何といってもニワトリかと。

そして、そのニワトリが作る天然肥料が鶏糞。

というわけで、今回は鶏糞についてです。

成分、他

まず、最初にだいたいの成分をみてみましょう。

窒素3%、リン酸5%、カリ3%、カルシウム10〜15%、CN比12くらいです。

見てみるとわかる通り、一番の特徴は、カルシウムがやたらと多いことです。

ニワトリの飼料に、大量に入っているせいでしょう。

卵用のニワトリであれば、殻を硬くするために、尚更たくさん入っています。

したがって、一口に鶏糞といっても肉用のニワトリか卵用のニワトリの鶏糞かによってカルシウム濃度は異なります。

鶏糞の袋に表示されている成分表をみても、カルシウム濃度が書いていないことが多いので、注意する必要がありますね。

もう一つの特徴は、他の家畜糞よりも窒素が高めなこと。

これは、鶏糞といいつつ、糞も尿も一緒に混ざっているためです。

そもそも、鳥は飛ぶ必要があるため、体を軽くしなければならず、そのため水分を取る量が少ないです。

したがって、老廃物の窒素分を排出する際も、水分を節約するために固形物のなっています。

鳥の尿は尿酸という形で排出されます。

化学式はC5H4N4O3です。

ついでながら、人とか哺乳類は尿素(CH4N2O)、魚類はアンモニア(NH3)の形で排出します。

尿酸は、ウリカーゼという酵素で、アンモニアに変換されます。

その結果、鶏糞中の窒素の形態は、水溶性アンモニアや、リン酸アンモニウムなどが主成分となります。

そしてこれらは、pHが高いと揮発します。

で、上述の通り鶏糞はカルシウムが高いのでpHも高いです。

したがって揮発しやすいです。

鶏糞の匂いがきついのは、この揮発したアンモニアによります。

この他の成分としては、マグネシウムが少ないこと、ホウ素、モリブデンなどの微量成分が多く含まれていることなどが特徴です。

鶏糞の分類

鶏糞には、乾燥させただけのものと発酵させたものの二種類があります。

それぞれの特徴を簡単に述べると、

乾燥鶏糞・・・肥効がはやい、還元害が出ることがある(微生物が急激に繁殖して、土壌の酸素が少なくなり植物が酸欠となる)

発酵鶏糞・・・肥効が遅い、ガス障害が少ない

となります。

普通に肥料として用いるのであれば、発酵鶏糞を使った方が無難です。

別の分類としては、粉状か、ペレットである程度の大きさに固めたものかという分け方もあります。

鶏糞は軽いので風に飛びやすいし、アンモニアが揮発しやすい性質があります。

したがって、ペレットの方が使い勝手は良いです。

その代わり、お値段が高くなるのは仕方ないですね。

あとは、上述した卵用のニワトリの鶏糞か、肉用かという違いもありますが、これは実際に作った人に聞いてみないとわからないですね。

実際の使いかた

何かの成分、例えばカルシウムとかリン酸とかを鶏糞だけで賄おうとすると他の成分のバランスが悪くなってしまいます。

施肥全体のバランスを、よく考える必要があります。

必要な成分と、値段表を睨みながら差し引きします。

結構面倒にも思えますが、一旦表計算ソフトなどで成分表とその時の投入肥料分の計算式を作っておけば、あとは打ち込むだけなので、頑張ってください。

量が決まったら、あとは投入します。

方法は人によって様々です。

例えば、株間に置き肥して、ワラなどの有機物をかけて覆う人。

あるいは、植え穴の底に入れ、埋め戻してその上に定植する人。

はたまた、根が伸びてくるところに待肥する人、等々。

もちろん、全面散布して混和するのも一般的です。

なお、全面散布の際に、お相撲さんが塩をまくように派手にまくのはよろしくなさそうです。

アンモニアが揮発して臭いだけでなく、窒素が消失されることになり、勿体無いです。

できるだけ静かに、例えば袋に穴を開けて、その袋を引きずって投入するなどという方法が提案されています。

まとめ

鶏糞は安くて手軽に使える優れた肥料です。

有機資材だけに、成分や形状など、いろんな状態のものがあります。

他の資材も同じですが、鶏糞の性質をよく知って使いこなしたいものですね。

参考にした本

村上圭一 藤原俊六郎 鶏糞を使いこなす 農文協

農文協編 肥料を知る土を知る 農文協