新年となり、昨年の結果を踏まえて、今年の農作業の計画を色々と考えている方も多いかと思います。

昨年の栽培状況はどうでしたでしょうか?

北日本の方は台風がいくつも直撃したのが、痛かったですね。

あと、秋の長雨も。

私の住む地域では、台風はなんとかしのげましたが、秋の長雨には結構な被害を受けました。

ウリ科などの地を這う野菜は、この雨でほぼ全滅。

また、エゴマなどの秋口に受粉する作物も収量が減ってしまいました。

とはいえ、この程度はまだまし。

毎年、何がしかの気象災害があります。

来年の天気はどうなるかわかりませんが、注意するに越したことはありません。

そこで、今回は近年の気象災害と今後の予想について、まとめてみました。

最近の気象の傾向

よく言われるのは、地球温暖化とそれに伴う異常気象ですね。

実際に平均気温は上昇しています。

ですが、注意すべきは、年々少しずつ温暖になるわけではなく、寒暖の振れが大きくなることです。

また、ゲリラ豪雨などの局所的な大雨は増えています。

これをもう少し詳しく、季節ごとにみていきますと、まず、春の気温は、昔と比べてさほど大きな変化はないようです。

その代わり、春先の豪雨が増えて来ています。

夏は、猛暑とか酷暑とか言われる、異常な高温が増えて来ました。

これは、地球温暖化だけでなく、都市化によるヒートアイランド現象もあるようです。

したがって、都市近郊にある農地では影響はさらに大きそうです。

秋は、涼しくなるのが遅くなって来ました。

夏からの異常な高温が、秋まで持ちこされることも多いです。

夏から秋に発生する台風については、年ごとの変動が大きいようです。

強さや回数が、統計的に増えていることはないようです。

冬も長期的には、気温が上昇しています。

ただし、西日本などでは、寒さが厳しくなることも多くなっています。

冬の降水量は近年増えて来ており、しかも豪雨も頻発しています。

積雪は北日本以外では、概ね減少傾向です。

今後の予想

上記に述べたような気象の特徴は、今後さらに加速することが予想されます。

猛暑の発生頻度は、さらに増えるでしょう。

降水量については、全体的には増加するとされています。

ただし、ゲリラ豪雨などの土砂降りが増える一方、干害も増えることが予想されています。

梅雨入りはそれほど大きく変化はないようですが、梅雨明けが遅くなってきます。

また、北日本では、やませと呼ばれる冷たい風が吹きますが、この発生は遅れることが予想されていす。

通常は7月くらいまでが多いですが、8月くらいでも発生するとされています。

農業への影響

上記の通り、高温と急激な降水に気をつける必要がありそうです。

高温は植物にとっての高温障害の原因となります。

土砂降りは、直接的には根に障害を受けることが考えられます。

あとは、土壌侵食とか、肥料分の流亡とかです。

それと並行して、干ばつの増加にも気をつけなければなりません。

注意すべきは、これらが単独で起こるのではなく、複合的に起こる場合が多いことです。

つまり、高温と干害が同時に起こるとか、強風と土砂降りが同時に起こり、風で倒れた上に根が傷んで枯死するとかです。

こうしたことをあらかじめ想定して、栽培に取り込む必要がありそうです。

猛暑について

こんな風に最近の気象の傾向は色々とありますが、やっぱり一番の関心事は温暖化ではないでしょうか?

そして、温暖化といえば、夏場の猛暑。

人間にとっても、植物にとっても体調を崩しやすい厳しい季節。

近年は、ここを乗り切るのが一つの重要な鍵となります。

今年はどうなるかわかりませんが、あらかじめ猛暑を想定して対策を考えておくことは大事です。

植物と高温

まずは、植物が高温でどのような状態になるか考えてみましょう。

植物は、温度が高くなると呼吸量が増え、体内の栄養分を消費します。

だいたい、気温が10度高くなると、呼吸量は2倍程度になると言われています。

これに対して、光合成能力は温度と共に高まるものの、ある程度以上になると変わらなくなります。

場合によっては、水分の蒸散を抑えるために気孔を閉じてしまい、それにより二酸化炭素を吸収できなくなり、光合成は少なくなることもあります。

したがって、ある温度を越えると、栄養分を作り出すよりも消費する方が多くなり、植物は成長できなくなります。

つまり、植物の成長のためには最適な温度があるということになります。

また、温度の影響は生殖成長に敏感に現れることも知られています。

温度が高すぎても低すぎても、花芽形成や受精がうまくいかなくなります。

この面でも、植物はその種類によって適正温度があります。

これらの点から、季節をずらした、早出し、遅出し栽培や盛夏に生殖成長するものは注意が必要です。

比較的暑さに弱い植物としては、マメ科植物やトウモロコシなどがあります。

これらの品目の見直しや、品種、作型の再確認をしておく必要があるでしょう。

水分の影響

温度の影響を考えるときに、切っても切れないのが、水分の影響。

近年は、局所的に雨が多すぎたり、逆に少なすぎたりと降雨の偏りが激しくなっています。

単純にいえば、雨が多すぎると、土壌の空気分が足りなくなり、呼吸困難となって根が痛みます。

逆に雨が少なすぎると、水分が少なくなりすぎて枯れます。

どちらも問題ですが、夏の猛暑との関係で言えば、水分不足の危険の方がより大きくなります。

というのは雨の量が変わらないとしても、温度が高くなると土壌からの水分の蒸発量が増えるためです。

特に危険なのは、梅雨明け後。

梅雨の多雨で根が痛んでいる後に、水分不足となるとより植物が水を吸いにくくなります。

したがって、この時期は、散水や被覆資材を使用するなどの対策が必要となります。

あるいは、耕耘して毛管構造による水分の蒸発を断つといった対策もあります。

その他

高温が直接的に植物に影響を与える以外にも、いろんな間接的な影響があります。

例えば、病害虫、雑草が増えることが予想されます。

また、微生物の活動が活発になります。

その結果、土が痩せてきます。

標高の低い地域では浸水しやすくなることも考えられます。

対策

上記のような問題に対しては、やはり事前予測が重要ですね。

天気予報や地方の営農情報をこまめにチェックしておきましょう。

あとは、シミュレーション。

こうなったらこうすると事前に決めておく、そしてそのための資材も準備しておく。

防災と同じですね。

まとめ

近年、異常気象現象が増えてきています。

傾向としては、夏から秋にかけての猛暑と、冬から春にかけての土砂降りが増えています。

今後の栽培では、こうした異常気象を考慮しながら、対策を行う必要がありそうです。

特に近年、猛暑となることが多く、栽培の際には備えをしましょう。

品種や作型の見直し、過湿、乾燥対策など。

最初に、「この場合はこうする」と決めておくとともにアンテナを張って、気象状況をこまめにチェックするようにしましょう。

参考にした本、サイト

気象庁 異常気象レポート2014

真木太一 鴨田福也 泊功 鈴木義則 早川誠面 農業気象災害と対策 養賢堂

饒村曜 気象災害の予測と対策 オーム社

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