堆肥マルチ前回、べたがけ資材について書きました。

べたがけとくれば、マルチについても書かないわけにはいきません。

ということで、今回はマルチ資材についてです。

とは言っても、マルチ資材は非常に種類が多いです。

まずは、プラスチック系の資材に絞って見てみたいと思います。

プラスチック系マルチ素材

マルチ素材として最もよく用いられるのは、ポリエチレンという種類の合成繊維です。

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ポリエチレンは他の素材に比べ、軽くて安い代わりに保温性と耐久性がやや劣ると言う特徴があります。

ちなみに、ビニールハウスなどでは塩化ビニルとかポリオレフィン系の素材がよく用いられます。

土の保温とマルチの色

選ぶ際に最初に選択するのは、色と思われます。

いろんな色のものが売られています。

透明、黒、白、緑、紫、茶色、銀色、・・・

日中の地温を上げるという目的の場合は、ざっくり言えば透明>色付き>黒の順に温度が高まります。

この順に光を土に表面に通すためです。

その代わり、逆の順に雑草が生い茂ることとなります。

昼間はいいですが、保温したいという時には、特に夜間の温度低下を防ぐのが目的かと思います。

これについては結構ややこしく、いろんな条件によっても変わりそうです。

例えば、透明マルチで日中の土の温度が高くすれば、夜間もその蓄熱分だけ低くなりにくいだろう、とも考えられます。

逆に黒マルチで光を通さなくすることにより、夜間の放射冷却現象を抑えて保温になるだろうとも考えられます。

以前に、透明と黒でどちらが保温になるか比較してみましたが、そちらを適宜参照していただければと思います。

過去ログ

黒マルチは地温を抑えるか?

地温を下げたい時

夏場などで、地温を下げたい場合もあるでしょう。

そのためのマルチもあります。

一つは、白や銀色と黒の二重になったマルチです。

太陽にあたる面を白や銀、地面の側を黒にします。

太陽からの光を白や銀で反射させるとともに、透過する分を下の黒で防ぎます。

もっと言えば三層になっているものもあります。

もうひとつ別の資材として、透湿性のあるものもあります。

これは、土の中の水分を蒸発させて外に逃がします。

その時の気化熱により、温度を下げます。

光と気化熱の両方の効果を狙って、二重のマルチにして通気の穴が空いているものもあります。

防虫目的

防虫のためには、銀色のマルチがよく用いられます。

反射光による、害虫の忌避効果を狙っています。

他の色のマルチでも同じく、光が反射するくらい綺麗に張れば防虫効果もあるようです。

凝ったものでは、透明マルチに銀色の線が入っているものもあります。

地温の上昇と反射による防虫を兼ねています。

虫の嫌う銅イオンを配合しているものもあります。

作業性の改善

マルチをはった時の難点として、植え穴をいちいち開けるのが面倒です。

少しなら自分であければ良いですが、大量に使うとなるといちいちそんなことをしていられません。

そのため、すでに植え穴の空いたものがあります。

人参など条蒔きする野菜用には、帯状に切れ目があるものもあります。

片付け

プラスチック系のマルチは、片付けるのも面倒です。

ゴミにもなります。

何年も使い回す人もいますが、いずれは捨てざるを得ません。

そんな時のために、生分解マルチというのがあります。

土壌中の微生物により、分解されます。

従ってはがす必要がなく、土にそのまますき込めば良いです。

同じような資材に光分解マルチというものも。

こちらは、光が当たることにより、徐々に分解されます。

普通の素材でも、剥がしやすいように切れ込みを入れているものもあります。

天然素材

マルチ素材は当然ながらプラスチックだけではありません。

それよりも、むしろ天然素材の方がよく使われるのではないかと思われます。

例えば、藁とかモミガラとか堆肥とかです。ナス水やり後

なお、この手の話題となると、そもそも天然素材とは何かと言う疑問が生じます。

この定義は、なかなか難しいです。

モミガラは、モミを加工して作り出すものだし、堆肥などはもっと人間の手がかかっています。

かといって、有機素材といってしまうとプラスチック系のものとの区別がつきません。

とりあえず、あまり深く考えずにイメージとして天然に思えるもの、と言うくらいでこらえて下さい。

素材

マルチにする素材は極めてたくさんあります。タマネギ3月雑草マルチ

米ぬか、モミガラ、堆肥、木材チップ、おがくず、藁、雑草、コーヒーかす、竹チップ、剪定枝・・・

いろんなものが試されています。

本来の目的が保湿、保温、除草なので、ようは何でもいいということ。

ただし、後でも述べますが、米ぬかなど植物の生育に影響を与える効果のあるものもあるので、この場合は取り扱い方に注意が必要です。

効能

プラスチックでなく天然素材を使うということは、それ相応のメリットがあるからです。

幾つかありますが、その中でも最も重要なのは、素材自体が土壌や植物に良い影響を与えることではないかと思います。

すなわち、マルチ素材が微生物により発酵、分解されて植物に有用な成分(ビタミンやアミノ酸など)が供給されます。

堆肥マルチなど特に、資材自体が相当量の栄養分を
持っています

さらに、そのように自然に分解されることにより、廃棄の手間もなくなります。

あとですき込めば、土を改善する効果も期待できます。

これらはプラスチック系のマルチにはないメリットです。

生分解マルチであれば、多少はこのような効果はあるかもしれませんが、天然素材にはかないません。

デメリット

メリットがあれば、デメリットもあります。

使う素材によっても異なりますが、ざっと挙げてみます。

まず第一には、マルチの効果が不十分なこと。

雑草の防除であれば黒マルチの方が効果は高いですし、日中の保温であれば透明マルチにの方が効果が高いです。

また、運搬するのも大変です。

除草が目的の場合など、特に大量になります。

藁とかモミガラとか一見軽そうに見えても、たくさん運ぶと結構重いです。

対策として、私は圃場の所々、あまり邪魔にならないところに積んでいます。

必要な時に近いところから使うわけですが、この場合は、大きな機械を入れる時にはやはり邪魔です。

重いという話とは矛盾しますが、やっぱり軽いです。

実際に敷く段になると、藁やモミガラは風で飛ばされてしまいます。

対策としては、マルチの上に米ぬかを軽くふりかけるというのがあります。

それが接着材となって風で飛びにくくなるとのこと。

ただし、私も実際にやってみたところ、そんなには効果が感じられませんでした。

まあ、気休め程度かも。

敷き藁とか長いものの場合、雑草が生えたときに藁が邪魔して取りにくいということもあります。

手で取るならばまだしもですが、鍬とか使うときには難しいです。

雑草をマルチする場合は、敷いた後に再び活着する恐れがあります。

一旦、枯らしてから敷きます。

あるいはマルチした後、あまり日を置かないうちにひっくり返します。

米ぬかの場合、それ自体除草目的として使われるくらい除草効果が強いです。

ある程度株が大きく、根が深くなっていれば問題ありませんが、根があまり発達していない場合は、枯れてしまう可能性があります。

堆肥マルチ

私が主に用いているのは敷き藁や雑草マルチ、それに堆肥マルチです。

特に効果を実感するのは堆肥マルチです。堆肥マルチ

しない場合に比べて明確に生育が良くなります。

そこでここでは特にこれについて述べます。

土にすき込む場合は完熟堆肥を用いますが、マルチ用は完熟させる必要は必ずしもありません。

むしろ、完熟していない方が風で飛ばされにくいです。

とはいえ、未熟すぎると植物に直接当たった時に焼けてしまう場合もあります。

中熟くらいがちょうどいいかと思います。

そうすると、土の表面で微生物も働きやすいです。

あと、堆肥マルチも運搬はやはり重いです。

しかも、作るのに手間もかかります。

従って、局所的な表層施用で使う量を節約しています。

株元だけマルチします。

念のため、苗には直接当たらないようにしています。

まとめ

プラスチック系のマルチには、保温、温度上昇防止、防虫、作業性など様々なマルチが使われています。

非常に多様な種類があるので、用途をよく考えてそれにあったものを選ぶようにしましょう。

天然素材でもいろんなのがあります。

身の回りのもので安く手に入るものがあれば、マルチにできないか試してみましょう。

プラスチックにはない土作りの効果も実感できるかもしれませんね。

<参考にした本>

農文協編 農家が教えるマルチ&トンネル 農文協

日本施設園芸協会編 施設園芸・植物工場ハンドブック 農文協

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