み味噌出来上がり

私は、いつも年始に味噌作りをしています。

味噌は、健康上、非常に優れた食材です。

江戸時代は、味噌は医者殺しとも言われていました。

その効能、ガン、心臓病、脳疾患、高血圧、脂肪肝、ボケ、糖尿病等々、非常に多様です。

しかも味噌は簡単に作ることが出来ますし、手前味噌という通り、自分で作った味噌はおいしいものです。

さらには、自分で作ると同じような材料を使ってもその家独特の味が作れます。

画一的なマスプロダクトの世界に住む、現代の私たちにとって、我が家のオリジナル製品をつくるのはなかなか魅力的なのではないでしょうか?

そういう訳で、私も味噌作りを何年もやっていますが、同じことを何年も続けると、ちょっと工夫もして見たいと思うのが人の常。

そこで、今回は味噌の作り方を変えると、どんな風に味が変化するかについて、今回調べてみました。

まずは簡単な作り方について

(詳細な作り方については、こちら → 家庭で味噌作り(暖地向け)

混ぜた材料を熟成させていくうちに、味噌らしい風味と香りが出てきます。SN3D1907

ここで、味噌らしい風味というと酸味、甘味、うま味、塩味が微妙にバランスしたものということになります。

また、香り成分も美味しさを決める重要な要素の一つです。

では、これらはどのようにして決まるのでしょう?

材料の影響

まずは材料の麹と豆と塩です。

このうちの麹は、種類として豆麹、麦麹、米麹とあります。

使う種類によって、味も変わります。

豆麹<麦麹<米麹の順に甘味がまします。

逆に、米麹<麦麹<豆麹の順にうま味が増します。

材料の分量も重要ですね。

麹分が多いと甘味が増します。

麹菌の作り出すアミラーゼという酵素が、デンプンを分解して糖を作るためです。

豆の量を増やすとうま味成分が増して、コクが出ます。

色も、写真の通り赤黒くなります。あ赤みそ

タンパク質の分解したアミノ酸の中の、グルタミン酸が生成するためです。

これにより、塩慣れがして塩辛さがマイルドになります。

あと、当然ながら塩を増やすと塩辛くなります。

余談ながら、みそ汁にした時の塩分の摂取量は1〜1.3gです。

厚生労働省の勧める成人の一日の摂取量は7〜8g。

多いと言えば多いが、むちゃくちゃ多い訳でもありません。

しかも味噌自体は血圧を下げる効果もあります。

塩分はカビの発生を抑える働きもありますし、過度に減塩にこだわるする必要はないと思われます。

熟成中の味の変化

話は戻って、使う材料がの種類と量が決まった後の工程です。

上記の材料は、まず、麹と塩を混ぜて塩切り麹とします。

この時点で麹に繁殖していた麹菌自体は死滅します。

しかし、それまでに麹菌が生成していた酵素は残っていて、その後の熟成期間中に働きます。

塩切り麹は煮豆と混ぜて冷暗所に保管します。

この保管中に、熟成されます。

この間に、麹菌の残した各種の酵素により、

1 デンプンが糖に分解されることにより、甘味が生まれます。

2 タンパク質がアミノ酸に、分解されうま味成分のグルタミン酸が生成することにより、うま味が生まれ、塩味がまろやかになります。

3 脂質が脂肪酸とグリセリンへと分解され、香り成分が生まれます。

さらに、こうして生成した糖質をエサに、乳酸菌が繁殖し、乳酸や酢酸を生成します。

これにより、酸味が生まれます。

そして、乳酸菌の繁殖とともに、どんどんと乳酸を生成し、酸性が強くなってpHが下がります。

それにより、乳酸菌自身の活動が衰えて、変わりに酵母菌が主役となって発酵が進みます。

酵母菌も、麹の酵素で生成した糖を原料にして、アルコール発酵し、香気成分を出します。

これらの各反応により、味噌の複雑な味わいと香りがもたらされます。

この熟成期間は、暖地であれば半年もあれば食べられるようになりますが、もしも酸味や甘味が強めの味噌を食べたければ、少し早めに熟成をストップさせることになります。

熟成が進むと、それだけ糖質が菌に消費されてしまいます。

ストップのさせ方としては、いろいろあります。

例えば、冷蔵で保存して菌の活動を抑えます。

あるいは、味噌メーカーでは少量のアルコール(2%)程度を混ぜることも行われます。

アルコール濃度を増やすことにより、酵母菌が活動を停止して休眠します。

50℃くらいに加熱して菌を死滅させることも出来ます。

逆に時間をかけると、糖質を酵母菌が消費するために甘味が少なくなり香気が増えます。

酵母菌の発酵と、麹菌の残した酵素群が脂質を分解することにより、香り成分も増えます。

また、同じく麹菌の残した酵素群がグルタミン酸を生成して旨み成分を増やします。

まとめ

甘味を増すには:
麹に米麹を使用する、麹の量を多めにする、熟成期間を短めにする

塩味を増すには:
塩の量を増やす、熟成期間を短めにする(熟成期間を長めにすると、塩味がまろやかになる)

うま味を増すには:
麹に麦麹や豆麹を使用する、熟成期間を長めにする

酸味を増すには:
熟成期間を短めにする

香りを増やすには:
熟成期間を長めにする

<参考にした本>

農文協編 農家直伝豆をトコトン楽しむ 農文協

一島英治 ものと人間の文化史 麹 法政大学出版局

小野伴忠、下山田真、村本光二編 大豆の機能と科学 朝倉書店

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