SN3D0568食べ物のおいしい季節ですね。

今、収穫中の野菜といえば、コマツナやダイコン、ニンジンあたりでしょうか?

野菜の食べ方は色々ありますが、大きく分けると以下の3つになります。

1 生で食べる
2 加熱して食べる
3 漬け物にして食べる

今回は私も大好きな、3の漬け物について、特にぬか漬けに重点をおいて取り上げたいと思います。

漬け物のいいところはいろいろあります。

例えば、生で食べるのと比べてみると、生野菜はどうしても固いため、乳幼児や老人など食べにくい人がでてきます。

が、漬け物にすることにより、柔らかくなって食べやすくなります。

また、野菜はビタミンを多く含みますが、特にビタミンCは加熱により分解されやすいという問題があります。

ですが、漬け物は加熱しないため、ビタミンCを損なうこともありません。

もちろん、美味しいですし、誰にも真似できない家庭や地域独自の味を作りやすいという特徴もあります。

ぬか漬けも、もちろんこのような優れた点を持っています。

それどころか、健康面の機能性は特に優れています。

そもそも、糠そのものの栄養価が高いです。

糠に含まれる多量のビタミン(特にビタミンB)やミネラルが野菜に浸透します。

ぬか床で繁殖する、微生物の作用も見逃せません。

消化、吸収を助けたり、悪玉菌の繁殖を抑えたり。

そういうわけで、是非作ってみましょう。

ぬか床を作る道具

ぬか床を入れる容器 :米ぬか1kgに対して、容積5リットルくらい(雑菌が入らないように、蓋つきのものを推奨します)ふ篩

フルイ:米ぬかのゴミ取り用

私が使っているもの容器

ホーローなので、丈夫で便利です。

サイズはもう少し大きくてもよい気はします。

必要な資材

米ぬか:1kg  ※1

塩:200g程度 ※2

水:出来ればカルキ抜きしたもの1200cc

捨て漬け用野菜:乳酸菌の繁殖のため ※3

(必ずしも必要でありませんが、好みに応じて)香味用の昆布、ダイズ、トウガラシ、日本酒、ニンニク等

※1

米ぬかは、わざわざ買う必要はありません。

自宅で精米する人はもちろん、しない人でも、ちょっとホームセンターや郊外のコイン精米機を探せば、自由にヌカを持ち帰ってよいところがあります。

※2

塩の分量としては、だいたい米ぬか6に塩が最低1の割合です。

米ぬか1kgであれば、塩170g以上になります。

比率は、そんなに厳密なものではありません。

江戸時代では米ぬか2〜3に塩1の割合だったそうです。

今は減塩嗜好が高まって、塩分が減ってきました。

つまり、この範囲であれば、ちゃんとぬか床ができるということになります。

塩の割合により、繁殖できる乳酸菌の種類も変わってきて、家庭独自の味ができる一因となります。

ただし、あまり減らしすぎると雑菌が繁殖しやすくなりますので、これ以上減らさないようにしましょう。

※3

捨て漬け用の野菜は、ヘタなどの切り捨てる部分でよいです。

わざわざ購入する必要はありません。

 

メカニズム

捨て漬け用野菜の表面に付着している乳酸菌が繁殖、ぬかや野菜を発酵させて有効成分を作り出したり、野菜を柔らかくして食べやすくなります。

一緒に混ぜる塩と、発酵による乳酸等の有機酸により。雑菌の繁殖を抑えます。

乳酸菌を増やそうとして、ヨーグルトを入れるのは効果は期待できません。

少し横道にずれますが、乳酸菌と言うのは特定の種族を示す訳ではなく、乳酸を出す菌をひっくるめてそう呼んでいるだけです。

例えて言えば、テントウムシ科とかカマキリ目とかいった分類名ではなく、全体をひっくるめて益虫と呼ぶようなものです。

乳酸菌でも、よく動物性乳酸菌とか植物性乳酸菌とか呼び分けますね。

ですので、ヨーグルトに住む乳酸菌が、ぬか床内で広がるとは必ずしもいえません。

衛生上のポイント

雑菌が繁殖しないように、ぬかを扱う時はしっかりと手を洗いましょう。

手順

入手した米ぬかは、早めに使いましょう。

米ぬかに含まれる油分が酸化して変質しやすいためです。

使う際には、そのまま使ってもよいですが、望ましくはフルイでふるいましょう。

ゴミを取るためです。

さらに加熱殺菌します。

フライパンで煎ると香ばしさが出ます。

ただし、焦げやすいのでこまめにかき混ぜましょう。

蒸しても、レンジでチンしてもいいです。

後で水を混ぜる変わりに、湯を沸かせても混ぜてもいいです(火傷には注意しましょう)。

その後、調整した糠と塩と水を混ぜます。

水は、お湯か沸騰させて冷ました水(カルキ抜くため)を使います。

水の分量は、よくこねたときに耳たぶくらいの硬さになる程度です。

すでに出来ているぬか床があれば、それを混ぜれば熟成が早まります。

そして、捨て漬け用の野菜を入れて、1日1回かき混ぜます。

最初のうちはぬか床内で発酵も進んでおらず、たとえ野菜を漬けても塩っぽい味しかしません。SN3D3253

が、熟成が進むにつれてまろやかになりうま味も出てきます。

一ヶ月ほどかき混ぜると、ぬか床が出来上がり。

その後、好みに応じて香味用の昆布、ダイズ等々を混ぜることもできます。

ぬか床をつくったら、いよいよ野菜を漬けます

漬け込みは、事前に野菜に塩をまぶして擦り込んで漬けるのが基本です。

塩をまぶさなければ、ぬか床の中の塩分が少なくなってしまいます。

また、塩を擦り込むことにより、野菜がぬか床に馴染みやすくなります。

漬けるときには、ぬか床を、底からよくかき混ぜてから入れます。

そして、野菜を入れたら表面をよく抑えて平らにします。

重しは必ずしも必要でありません。

容器の壁についたぬかは綺麗に拭き取り、容器はフタをして保管します。

季節や野菜の大きさにもよりますが、1日くらい漬けておくと浅漬けができ、一週間くらい漬ければ古漬けができます。

浅漬けは、ぬか床の漬け汁が野菜に染み込むのが主たる効果で、野菜自体の発酵はあまり進んでいません。

古漬けすると、野菜の発酵が主になります。

そのため、人によっては酸味が強すぎたり、塩辛く感じたりするかも知れません。

その際には、一旦水に漬けて塩抜きしましょう。

ちなみに、古漬けの中には三年以上漬けているものもあるそうです。

私も、三年とは言いませんが、ダイコンとニンニク長期間漬けをしています。

ダイコンは一週間もつければ、十分濃厚な味になります。

ニンニクは、一週間や二週間ではまだ漬かっていない感じで、一ヶ月くらい漬けるとちょうどいい食感になりました。

ただし、これはぬか床や漬けた野菜の状態にもよるとは思いますが。

あと、個別の野菜としては、ナスは発色を良くするために錆びた鉄釘やミョウバンを入れることも行われます。

高菜は、普通に漬けると固いので、事前によく洗って日にあてて1〜2日干し、木の棒でよく叩いてから漬けます。

日頃のお手入れ

ぬか床はメンテナンスが大切です。

1日1回はかき混ぜるようにしましょう。

ぬか床に住む乳酸菌は微好気性菌で、ごくわずかな酸素のある環境を好みます。

かき混ぜることにより、内部に酸素を供給するとともに、表面の空気に接していたぬかを内部に埋め込みます。

混ぜる際には、事前によく手を洗った後に、容器の底からかき混ぜます。

かき混ぜた後は表面を平らにしてよく押さえつけます。

表面が荒れていると、その分空気に触れる面積が多くなり、乳酸菌以外の菌が繁殖しやすくなるためです。

それから、ぬか漬けをつくっていると、どうしてもぬか床の水分が増えます。

水分が増えると、やはり雑菌が発生しやすくなります。

水分を減らす方法は色々あります。

一番効果があるのは、新しいぬかを足すことです。

ぬか床を新たに作るときと同じ要領で、ぬかと塩を準備して足します。

あと、昆布や大豆、切り干し大根などを入れて水分を吸わせる方法もあります。

これらの入れた食材は、もちろん食べられます。

他に、ぬかをかき混ぜた後表面を平らにし、真ん中に指で穴を開けることも行われます。

穴を開けてしばらく置いておくと、その穴の中に水が溜まってきます。

それを布か何かで吸い取ります。

上記、いずれも試してみましたが、私の感覚では新たなぬか>乾物>水吸い取りの順に効果が高かったです。

また、そもそも、ぬかを入れる容器を大きいものにしておけば、水分も増えにくくて良いです。

この他のトラブルとしては、漬けたものが酸っぱくなることがあります。

乳酸菌の発酵が進みすぎた時にそうなります。

こういうときには、たまごの殻や、微生物の活動を抑える食材、トウガラシやニンニク等を入れることがあります。

ぬか漬けが塩辛いときもあります。

これは、必ずしも塩分が高すぎるという訳ではなく、ぬか床のうま味成分が少ない時にそう感じられます。

先ほどと逆で、乳酸菌の活動を進めてやる必要があります。

乳酸菌の栄養となる米ぬかや野菜をこまめに入れるとともに、水分管理と毎日のかき混ぜを行います。

ぬか床がアルコール臭とか、何とも表現しにくい異臭がすることもあります。

これらの異臭は酵母菌が嫌気発酵したり、酪酸菌が繁殖した時に起こります。

インターネットや本で調べてみれば、こういった状態のときはこれこれ、と色々と書いていますが、基本的には、やはり新しい米ぬか(+塩)を足して、毎日かき混ぜるのが確実です。

色んなトラブルの種がありますが、結局のところは、日々のメンテナンスを愚直に行う、というのがコツになります。

毎日、かき混ぜるとともに見た目や手触り、匂い、場合によっては少しなめてみたりすることにより、ぬか床の様子やトラブルの対処法が分かってきます。

ぬか床を長持ちさせるために

ぬか漬けのぬか床は、何年も続けば続くほど味に深みが出て美味しくなります。

ところが、多くの人は途中でダメにしてしまいます。

どうしても続きません。

それが最大の関門です。

私の祖母は、ずっとぬか漬けを続けていました。

何10年続いていたかわからないくらい。

ところが祖母が死んで、母が後を継いだら、すぐにダメにしてしまいました。

私は現在5年くらいぬか床を続けています。

これと並行して、妻も5回くらいぬか床をつくっていました。

私は5年、妻は5回。

すなわち、妻は5回くらいくらいヌカ床をダメにしたことになります。

ダメにする原因はかき混ぜるのを忘れることと、野菜をつけすぎて水っぽくなることです。

単純な失敗ですが、これを解決するのはなかなかの難問です。

かき混ぜるのを忘れないようにするためには、習慣化するしかないでしょう。

毎日決まった時間にかき混ぜます。

下手に冷蔵庫に入れてかき混ぜる頻度を少なくしようとしても、忘れてしまいます。

夏場で発酵が進みすぎるので冷蔵庫に、という人もいますが、私はおすすめしません。

常に同じ場所に保管して、同じ時間にかきまぜます。

あと、夏場には発酵が進みすぎるので、1日に2、3回かき混ぜようという人もいますがムリです。

続きません。

私は夏も冬も1日1回だけです。

ただし、夏場はつけすぎには注意します。

夏はきゅうり、シロウリ、ナスなど、いろんなものをつけたくなりますが我慢します。

あるいは、母艦のぬか床と子のぬか床を用意して、子の方で漬物を作り、母艦はメンテに注力します。

子の方は使い捨て用です。

ぬか漬けのようなスローフードは、どうしても手間がかかります。

それを、面倒と思うと続きません。

中に住む乳酸菌や、ぬか床そのものを愛して、ペットとして育てるつもりでお世話しましょう。

大切にお世話すればするほど、ぬか床もそれに答えておいしいぬか漬けを作ってくれます。

<参考にした本>

坂本卓 発酵食品の科学 日刊工業新聞社

宮尾茂雄 漬け物入門 日本食料新聞社

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