土壌の重要な指標として真っ先に思いつくのはpHかと思います。

pHを適正な領域(弱酸性)に合わせることは重要です。

しかし、pH調整するために石灰を入れても、必ずしもうまくいかないこともあります。

pHをあわせるためには、同時にCECとか、塩基飽和度についても考慮しなければなりません。

そこで、これを踏まえて、これらの指標とpHとの関わりについて述べていきたいと思います。

CECとは

例として、硫安のようなアンモニアの肥料を入れて、その後雨が降ったとします。

肥沃でない土壌では、アンモニアは雨水に溶けて、そのまま地下水に流れ、川や海にまで到達して環境汚染の原因となります。

これでは何をやっているかわかりません。

雨が降った時も、土の表面にくっついて洗い流されずにしがみついていて欲しいものです。

アンモニアは、水に溶けるとアンモニウムイオン(NH4+)としてプラスのイオンになります。

従って、土の表面がマイナスになっていれば、アンモニウムイオンはくっついて離れにくくなります。

つまり、土の表面のマイナスの帯電が多いほど、このような捕捉力は高くなり、たくさんのアンモニウムイオンをくっつけられるようになります。

この、プラスのイオンをくっつけられる能力の強さを、CECと言います。

日本語では、陽イオン交換容量と言います。

アンモニア以外にも、カルシウムやマグネシウム、カリウムといった成分は、水に溶けるとプラスイオンになります。

従って、これらを保持するためにCECという指標はとても重要です。

CECの単位とその意味

そういうことでCECの分析をするわけですが、そううすると、このとき○○me/100gといった単位がついてくきます。

これは、100gの土に対してのミリグラム当量という意味になります。

当量というのは、プラスイオン、もしくはマイナスイオン一個あたりの重量に相当します。

たとえば、カリウムだと原子量は39で1価、すなわち一定数のカリウムの重量が39グラムで個々の原子についてプラスが一つです。

従って、1me/100gであれば、土100gに39ミリグラムのカリウムがくっつけられるということに相当します。

カルシウムであれば、原子量40で2価なので、1me/100gであれば、土100gに40/2の20ミリグラムのカルシウムがくっつけられます。

同様にマグネシウムは12ミリグラム、アンモニアは18ミリグラムとなります。

CECは、圃場によって異なりますが、だいたい10~40me/100gくらいが一般的な値です。

従って、これらから、保持できる肥料分の上限がわかることになります。

塩基飽和度

CECのついでに塩基飽和度についても見てみましょう。(ややこしい言葉ばかりですいません)

CECは、土壌中にいくらの陽イオンが捕まえられるかという指標ですが、これに対して塩基飽和度は、実際どの程度捕まっているかを示しているものです。

たとえて言えば、ダンボールの容量がCECに対して、中に入っている品物の量が塩基飽和度です。

ただし、ここでいう品物とは、カルシウム、マグネシウム、カリウムイオンです。

アンモニウムイオンや水素イオン、ナトリウムイオンは除きます。

CECと塩基飽和度を組み合わせることにより、投入できる肥料の量が計算できることになります。

例えCECが高くても、もしも塩基飽和度が100パーセントを超えるような値であったら、ほとんど流れてしまうことになります。

肥料投入の考え方としては、まず畑の面積と土の深さ(目安10センチ)、及び比重(単位容積当たりの重さ)をかけて、土の重さを算出します。

これに、先述のCECをかけると、投入できる肥料の上限がわかります。

さらに、塩基飽和していない割合(100パーセントから塩基飽和度を引いた割合)が実際に投入可能な肥料分ということになります。

堆肥の役割

教科書などでは、何かの植物を育てる時に「堆肥何キロに、化成肥料何グラム、石灰何グラム、・・・」などと書かれていますね。

しかし、化成肥料や石灰は、上述の通りCECと塩基飽和度で投入できる上限が決まってきます。

それを補う働きがあるのが、堆肥とか有機質資材です。

堆肥と組み合わせることにより、その堆肥に肥料分を吸着させて保持させるわけです。

ただし、堆肥といっても品質は非常にばらついています。

ホームセンターなどで購入する際には、品質表示の欄をよく確認しましょう。

完熟堆肥はCECがおよそ80くらいです。

pHと塩基飽和度

これらを踏まえて、pHとの関係をみていきましょう。

まずは、pHと塩基飽和度の関係についてです。

これは、実はほぼ対応します。

pHを高めるということは、塩基飽和度を高めることに他なりません。

とすると、前にも書いた通り、pHを高くするためにはプラスのイオンのバランスが重要となります。

単にカルシウムだけ入れると、カルシウムが過剰になります。

そうすると、拮抗作用により、マグネシウムが吸収しにくくなります。

しかし、すでに塩基飽和度が100%を超えたような高い場合もあります。

その場合は、カルシウム等々が吸収されずに土壌中に溶け出ています。

そうすると、植物の根が浸透圧に逆らって水分を吸収しなければならず、水分を取り入れにくくなります。

また、アンモニアも吸着されにくくなっていて、土の水分中に遊離します。

これにより、雨などで流れやすくなります。

流れなくても、硝化菌により硝酸イオンに変わります。

こうなると、ますます土に吸着されにくくなり、水に流れやすくなります。

単にカルシウムを入れてpH調整すればいいというものではないことがこういった点からもわかります。

pHとCECの関係

pHとCECも関連しています。

pHにより、CECが変化する土と変化しない土があります。

代表例としては、前にご紹介したアロフェンです。

酸性になると、水素イオンを引きつけてプラスに帯電します。

アルカリ性になると、水素イオンを放出してマイナスに帯電します。

マイナスになると、陽イオンを引き付けやすくなるのでCECは上昇します。

堆肥などの有機物も同じです。

腐植中に含まれるカルボキシル基COOHや水酸基OHがアルカリ性になると水素イオンを放出してマイナスに帯電します。

従って、こうした点からもCECを高く保つには適正なpHが必要です。

CECをあげるには

CECを高めるためには、CECの高い資材を入れることが行われます。

堆肥もその一つです。

完熟していれば、CECは80くらいです。

あとは、ゼオライトも効果が高いです。

これは、CECが200弱くらいです。

ただし、ゼオライトは弱酸性資材で、吸水性が強く土壌が乾燥しやすいという性質があります。

自分の土壌条件も考えながら、ベストな資材を選ぶ必要があります。

まとめ

CECは肥料分を保持する能力を示す指標で、塩基飽和度はその中で実際に肥料分が吸着している割合を示す指標です。

CECが高く、塩基飽和度が低いほど、多くの肥料を投入することが可能となります。

CEC、PH、塩基飽和度は、それぞれが関連しあっています。

1つの指標にとらわれず、色んな指標のバランスを見ながら矯正する必要があります。

参考にした本

吉田澪 やさしい土の話 化学工業日報社

武田健 新しい土壌診断と施肥設計 農文協

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