ホソヘリカメムシ

害虫、益虫、ただの虫

春になって、いろんな植物の管理が増えるとともに、害虫にも悩まされ始めることと思います。ネキリムシ拡大

今時分では、アブラムシやネキリムシあたりが気になりますね。

害虫の防除の方法はいろいろありますが、決定的手段はなく、なかなか難しいです。

害虫を防除しようとして、耕耘したり、こも焼きのようなことをしても、他に弊害が出ます。

土を痩せさせてしまったり、益虫の方がかえってたくさん死んでしまったりします。

これは、害虫というものが、他の虫と特に際立った違いがないのが原因です。

そもそも、害虫という概念自体が曖昧です。

虫を人間との関わりで分類すると、害虫、益虫、ただの虫の3つに分かれますが、状況により、これらの分類は変わってきます。

害虫やただの虫も、益虫の餌となることにより、益虫を繁殖させるという有益な効果があります。

また、糞を微生物に供給して、土を肥やす一助にもなります。

逆に、ただの虫だったのが、害虫化することもあります。

例えば、カメムシは、稲穂を吸汁して、斑点米を作ります。

斑点米は、色がつくこと以外は大きな問題はなく、昔でしたら許容できるものでした。

しかし、現在の等級制度ができることにより、斑点米は二等米として価格が低下することになります。

つまり、等級制度によりカメムシは害虫となりました。

こういった微妙なこともあり、害虫管理の考え方も昔と変わってきています。

以前は、殺虫剤で一掃する防除が一般的でした。

しかし、それによる生態系への影響や、リサージェンス(農薬を撒くと帰って病害虫が増える現象)の弊害も顕著になってきています。

このような反省から、総合害虫管理という考え方が浸透してきています。

いろんな方法を組み合わせて、害虫を害の出ない程度に抑えようという試みです。

様々な害虫管理方法

具体的には、耕種的、物理的、化学的、生物的な防除法を組み合わせて害虫管理を行います。

耕種的方法というのは、輪作とか、田畑転換、あるいは栽培時期をずらして害の出ない時期で育てる方法です。

また、病気の出にくい台木を接木したり、その害虫の害を受けにくい品種を作付けする方法も含まれます。

物理的防除法は、熱や光などを利用する方法、物理的に侵入を抑える方法等です。

熱を使う方法としては、ハウスを締め切ったり、ビニールマルチをしたりして太陽熱で防除する方法、

バーナーで野焼きをする方法、

温湯で種子消毒をしたりする方法など様々あります。

光を使う方法は、黒マルチで光を遮る、

虫の嫌う黄色の光を、夜間照明する、

などの方法が有ります。ふ不織布トンネルマルチ

また、防虫ネットやべたがけで害虫の侵入を防ぐことも行われます。

 

生物的方法は、天敵や微生物を利用する方法です。

フェロモントラップなどもあります。

もちろん、農薬による化学的防除法も必要に応じて組み合わせます。

これらにより、害虫を被害の出ない程度まで減らします。

根絶させるところまでは狙いません。

総合的生物多様性管理

このような総合的な対策をとるために、発生量を予測して被害を予測し、それに応じて対策を決定します。

対策も、戸別に行っていたのから、地域全体を巻き込んだ大掛かりな対策になっていきます。

周辺の雑草をみんなで刈り取るとか、フェロモントラップを仕掛けるとか。

さらに、概念自体も包括化しています。

元々は害虫だけを対象にしていた総合害虫管理から、病害虫、鳥獣、雑草なども含めた総合有害生物管理、

さらには有害でない生物の保全も結びつけて、総合的生物多様性管理といった概念に広がっています。

自然と共に

私たちは自然の中で生かされています。

環境負荷をなくし、自然と共生する方向に進んでいくことは、青臭い理想論でもなんでもなく、我々の目指すべき主流となってきています。

 

参考にした本

藤崎憲治 大串隆之 宮竹貴久 松浦健二 松村正哉 昆虫生態学 朝倉書店

日本植物防疫協会 植物防疫講座第3版 害虫・有害動物編 日本植物防疫協会

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