石灰資材梅雨でジメジメした日が続きます。

でもこの長雨で、植え付けた後は野菜たちは、どんどん肥料分を吸収して成長していくことでしょう。

前回は窒素の吸収について書きましたが、肥料は無論窒素だけではありません。

肥料分は、種類が多い上に相互に関連しあうのでなかなか難しいものですね。

さて、今回はカルシウムについてです。

肥料の三大要素といえば、窒素、リン酸、カリですが、カルシウムも植物の吸収量としては、これらに負けず劣らず多いです。

それに、肥料そのものとして以外にも土壌改良する働きもあります。

というふうに、カルシウムは非常に重要な成分なので、今回、特に取り上げてみました。

そもそもカルシウムとは

カルシウムは化学記号でCaです。

これ自体は金属ですが、普通はイオンとなって酸素や炭酸などと結びついています。

食品としては、牛乳とか小魚によく入っていると言われますね。小魚

マグネシウム(Mg)と近い性質を持っているので、人間や植物などでは拮抗作用を持つことが多いです。

カルシウムの化合物は、かなり紛らわしい名前です。

よく使われる「生石灰」という言葉は酸化カルシウム、CaOを表します。

「消石灰」は水酸化カルシウムCa(OH)2。

あと、酸化カルシウムを高温で焼き固めた「焼石灰」というのもあります。

これ以外にも硫酸カルシウムを石膏、炭酸カルシウムを石灰石、水酸化カルシウム水溶液を石灰水等々、なかなかややこしいです。

こんな風にきちんと日本名があるということは、それだけ昔から馴染みの深いものだったのかもしれませんね。

日本で自給できる、数少ない地下資源のうちの一つでもあります。

肥料としての石灰

カルシウム肥料中に含まれている、化合物は何種類かあります。

炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、過リン酸石灰、塩化カルシウムあたりです。

選ぶ際には、

・pHを上げるか下げるか、
・肥効が早いか遅いか、
・他にどんな成分が含まれているか

などを考慮する必要があります。

これを踏まえて個々について述べますと、

(1)炭酸カルシウム(CaCO3)

 

これ自体の名前で売られていることもあるし、別の名前となっているものでも、炭酸カルシウムが主成分であることが多いです。

例えばカキ殻有機石灰などというものは90%以上が炭酸カルシウムです。

他の有機石灰も同様です。

また、苦土石灰という肥料もありますが、これは炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの混合物です。

炭酸カルシウムは、非常に水に溶けにくいです。

ということは、逆に言えばゆっくりと溶けていくので、緩やかな肥効を得たい時には使いやすいです。

pHを高める時の土壌改良にもよく使われます。

(2)水酸化カルシウム(Ca(OH)2、消石灰)

これも、非常によく使われます。

カルシウム資材は全般に水に溶けにくいですが、水酸化カルシウムはその中では割合溶けやすい方です。

また、この資材もpHを高める効果があります。

窒素肥料として石灰窒素も使われますが、この石灰は肥料として撒いた後、土壌で水によって水酸化カルシウムとなります。

(3)酸化カルシウム(CaO、生石灰)

これも水と反応して水酸化カルシウムになります。

発熱するので、生石灰単体ではあまり使われません。

以前、生石灰をビニール袋に入れて、そこに水を入れて放置して見たことがあります。

何時間かすると、煙が出てビニールが溶けてしまいました。

もしも使う際には十分注意をしましょう。

これも、カルシウム資材としては水に溶けやすい方で、pHを高める働きがあります。

(4)硫酸カルシウム(CaSO4、石膏)


これは水に溶けにくいので、肥効としてはゆっくり効きます。

石膏の特徴は、酸性であること。

石灰肥料だからといって、土壌のpHを高めるためには使えないので注意が必要です。

あと、硫黄を供給するのに使えるのも特徴的です。

ちなみに、過リン酸石灰は、第一リン酸カルシウムCa(H2PO4)2・H2Oと石膏の混合物です。

(5)第一リン酸カルシウム(Ca(H2PO4)2・H2O)


上述の通り、過リン酸石灰の主要成分です。

リンの肥料としてよく使われますが、カルシウムもしっかり入っています。

この第一リン酸カルシウムは、水に比較的溶けやすいのが特徴的です。

従って早く効きます。

また、pHは低くします。

(6)塩化カルシウム(CaCl2)

水に極めてよく溶けるので、液肥代わりに使うことがあります。

肥効は早いです。

ただし、過剰な塩素害もあるので、適量になるよう注意する必要があります。

石灰防除

このようにカルシウム肥料はいろいろあり、使い方もいろいろです。エゴマ畑

ところで、他の肥料と違って、カルシウムの特異な点は病害虫の防除に使えるということ。

今の時期、暑い上に湿度も高く、病害虫には特に気をつけたいところです。

石灰が防除に効く理由

石灰が病害虫を抑える仕組みとしては、大きく次の3点が考えられます。

1)pHを高める

多くの病害菌はやや酸性側を好みます。

従って、カルシウム資材により酸性を和らげ、中性〜アルカリ性化することにより、かなりの病害虫を避けることができます。

2)細胞壁を強くする

病原菌が植物内に侵入する際には、細胞壁を溶かして侵入します。

カルシウムは、その細胞壁の表面のペクチンという物質の主成分です。

カルシウムを施用することにより、このペクチンが強化され、病害菌が侵入しにくくなります。

この結果、病気を予防する効果が現れます。

3)細部内の情報伝達に関与する

植物が、何らかの障害を受けたり、異常があった時に、細胞内のカルシウム濃度が高まり、それによって特定の植物ホルモンが生成されます。

これが細胞内の核に情報を送り、ファイトアレキシンを出すよう働きかけます。

ファイトアレキシンというのは、植物が出す病害虫に対抗するための防御物質です。

これにより、病原菌を攻撃して自分の身を守ります。

したがって、状況にもよりますが、一旦病気にかかってからでもカルシウムを撒いても、病気の進行を抑えることができます。

石灰防除の方法

方法は、いろいろ提案されています。石灰防除

最も簡単なのは、石灰をそのままバサバサとかける方法です。

私も、ウリ科野菜のうどん粉病対策などでよく撒きます。

これ以外には、水に溶かして散布するというの方法もあります。

植物は水に溶けた成分を吸うので、水に溶かすことにより、すぐに吸収できるようになります。

ただし、なかなか溶けないので注意が必要です。

水に混ぜてジョウロなどで撒くと、ジョウロの穴が詰まる元になります。

逆に言えば、水に入れるカルシウム資材は、ごくわずかで十分です。

温度にもよりますが、水酸化カルシウムであれば、水に溶ける量は、1リットルに1.7g

炭酸カルシウムであれば、1リットルに0.015gです。

基本的には、これ以上入れても、水に溶けているカルシウム分は増えません。

これ以外には、もちろん土壌に肥料として撒くこともよく行われます。

この際には、有機物と一緒に用いると特に有効です。

有機物からできる腐植が、カルシウムイオンをくっつけて、雨などで流れるのを防ぐためと思われます。

使用する際の注意

石灰防除は多くの植物に有効ですが、場合によっては逆効果となることもあるので、注意が必要です。

ジャガイモのそうか病や、ナス科野菜の青枯れ病に対しては、却って病気が広がる懸念があります。

これらの病害菌については、土壌中のアルミニウムが繁殖を抑えている場合があります。

カルシウムを施用することににより、この作用が抑えられることによって、病害菌を繁殖させてしまうのです。

まとめ

石灰は、窒素、リン酸、カリと同じくらい植物の吸収量が多い、重要成分です。

石灰肥料は各種あります。

肥効の速さ、pHへの影響、他の成分などから適宜選別するのようにしましょう。

また、カルシウムは、病害虫の防除のためにも有効な物質です。

多くの野菜の多くの病害中について、バサバサとかけるだけで防除の効果が得られます。

ただし、場合によっては逆効果となることもあるので、どんな病気の防除をしたいかあらかじめ確認して使いましょう。

<参考にした本>

農文協編 農家が教える石灰で防ぐ病気と害虫 農文協