木々

暑いですね。

人間はへこたれそうですが、作物は暑さに負けずに青々と茂っています。

(雑草の方は、もっと青々としていますが)

ふと気がつくと、畑ではそれなりにいろんな植物が育っています。

(多くは雑草という気もしますが)

こうしていろんな種類の植物を見比べてみると、形が様々に違っていることに改めて驚きます。

植物と一言で言っても、ずいぶん違うものです。

それにしても、どうしてこんなにいろんな形があるのでしょう?

進化の過程で、ある特定の有利な形に落ち着いて行くのではないのでしょうか?

そもそも、進化の過程で植物の形が決まる要因って何でしょう?

そう思って、今回は植物の形態について調べてみました。

植物の生き方

まず、植物(に限りませんが)の究極目標は何か?というと、これは子孫の繁栄ということになります。

ではそのためには?というと、たくさんの種を作る必要があります。

さらにそのためには、たくさんの栄養分を光合成により作り出さなければなりません。

従って、植物の形は、光合成に有利な形となるように変化してきていると考えられます。

それでは、光を受け取りやすくするのに最適な形は?ということになりますが、これは周りの環境によって変わってきます。

すなわち、他の植物との競合です。

単純に光合成をたくさんするには、葉っぱを広くすれば良いです。

しかし、周りに自分より背の高い植物が生えていると、その影で光を得られません。

従って、この場合は背を高くすることが有利となります。セイタカアワダチソウとメヒシバ

しかし、そうすると自分の持っている養分が十分葉っぱに使われなくなります。

栄養分を葉っぱに使うか茎に使うか、トレードオフの関係になります。

もしも過剰に背を高くすると、光を受けるのは有利となっても、葉っぱが小さくなって光合成能力としてはかえって低くなることにもなりかねません。

そういった方向には進んで行きません。

環境と植物の形

それで、植物の形の変化に影響する具体的な環境はというと、周りの植物が密に生えているか疎に生えているか

それと周りの植物が高いかどうか

の2点です。

それにより、葉の大きさ、縦方向の茎の長さ、横方向の茎の長さが変わってきます。

もしも狭い面積にたくさんの植物がひしめき合っていたら葉っぱの大きさは短くなります。

そして縦に伸びるようになります。

横方向の茎の長さは変わりませんが、植物がさらに密生すると、横方向の茎も短くなってきます。

周りが背の高い草ばかりだと、自分も縦方向、横方向とも伸びて、その代わりに葉っぱは小さくなります。

光を受けること一つをとっても、こんなにいろいろと考える要因があります。

しかも植物は、この他に土壌の養分や降水量、風の強さなどいろんな環境に適応していかなければなりません。

だから進化の過程で、植物の形は一つに収斂せず多様性が現れるのかもしれませんね。

それでは、根は?

それでは、受光に関与しない部分、すなわち根についてはどうなのでしょう?

しかし、根と一言で言っても、土の中にもぐっている分、地上部の茎とか葉ほど身近ではありません。

そこで、まずは大雑把に根の分類から始めてみたいと思います。

根は、大きく分けて直根と不定根に分かれます。

直根は、タネから出てきた根が土の中で真下に伸びたものをいいます。

また、不定根は、根以外の茎や胚軸から生える根をいいます。

ここで、根とか茎とか胚軸とか出てきましたが、これらの区別は結構ややこしいです。

地上に出ている根もあれば、土の中に埋まっている茎もあります。

定義はですが、外観から大雑把に言うと、
葉っぱが出るところが茎、
葉っぱの出ないところが根、
子葉から根までの間を胚軸
といいます。

では胚軸も葉っぱが出ないから根の一種か?というとそういうわけでもありません。

胚軸は胚軸で、茎でも根でもありません。

さらには、胚軸とも根とも茎とも言い難い担根体というのもあります。

こんな風に細かく突き詰めていくと、分類するだけでかなり難しい問題になっていきますね。

根の分類

これとは別に、役目に応じた根の分類もなされます。

普通の根の役割は、土壌の養分や水を吸うのと、植物が倒れるのを防ぐことですね。

この他、栄養分を蓄える働きのものもあります。

貯蔵根と言われるのがそれで、大根やサツマイモなどが代表例です。

貯蔵根の中には、直根由来のものと不定根由来のものがあります。

直根由来のものを多肉根といい、ダイコンやニンジンなどがこれに相当します。

多肉根は、養分を蓄えてその養分で花を咲かせ、種を作ります。

ちなみに、ダイコンやニンジンの食べる部分は、上の方が胚軸で下の方が根に相当します。

不定根由来のもの塊根といい、サツマイモなどがあります。

塊根は栄養繁殖により、個体数を増加させます。

あと、上でのべた担根体も、ヤマイモのような植物では栄養を貯蔵する働きがあります。

タカキビ気根あと、気根というのもあります。

呼吸に特化した根です。

面白い植物としては、ヒルギダマシというのがあります。

海辺で生活する植物で、細い根が水中から外に飛び出して酸素を取り込んでいます。

気根の一種で支持根というのもあります。

地上部分を支えるための根です。

身近なところでは、トウモロコシの根元にいっぱい生えているやつがそうです。

南西諸島や小笠原諸島に生息する、ガジュマルの気根も大きくて立派です。

茎から根が垂れ下がっています。

それがどんどん伸びて地面に到達すると、そこからは普通の根のように、養分や水分を吸収します。

沖縄の景色昔、沖縄に旅行に行った時に、ガジュマルの木は歩くことができるという説明を受けたことがあります。

新しい支持根が伸びて地面に到達するとともに、古い支持根が朽ち、さらにその次の新しい指示根が伸びるという風に、支持根が消長を繰り返すことにより、長い時間をかけて幹が移動していくのだそうです。

各々の根の発達する条件

根と一言で言っても、このように多様な機能を持っていますが、それではこのような根が発達するための条件はどのようなものでしょうか?

例えば黒ボク土のように、腐植土が厚く地下水が深い場所では直根が長く伸び、支根もよく発達します。

従ってこのような場所が原産地の植物は、直根性のものが多くなります。

これは、例えばアブラナ科のような双子葉類が該当します。

逆に、岩盤の上で薄い作土しかないような場所では根は浅く広がります。

また、ボルネオとか熱帯雨林のように、水が豊富で風が弱いと根はそんなに発達しません。

イネ科などの単子葉類は、湿った土壌で不定根がよく発達します。

 

根は大地の下に隠れて地上を支える縁の下の力持ち。

一部の根菜を除いて地味で目立たないですが、これ以上ないほど重要な存在です。

雑草など、茎をとっても根が残っていればいくらでも再生してきます。

私達人間も、地味で目立たなくても重要な働きをする人は多いですね。

根も、そうした人たちと同様、もっと敬意と興味をもって接していきたいものですね。

<参考にした本>

酒井聡樹 植物のかたち 京都大学学術出版会

原襄 植物形態学 朝倉書店

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葉っぱの形