ナス多い収穫の秋ですね。

農園運営者各位におかれましては、豊かな収穫の迎えられたこととお慶び申し上げます。

ただし、穀物類ですと保存も効きますが、新鮮野菜などの場合は取れすぎて、食べられない、とのうれしい悲鳴も聞こえてきます。

いろんな料理を試してみたり、ご近所におすそ分けしてみたり。

それでも結局食べきれず、捨ててしまうとすれば勿体無いことです。

乾燥させるとか漬物にするとか保存法はいろいろありますが、今回は鮮度を保つためには、というテーマで考えてみたいと思います。

まずは鮮度とは

わかりきっていることとは思いますが、まずは鮮度が失われるとはどんなことか改めて確認してみましょう。

収穫直後の野菜は、みずみずしく、見た目も光沢があって触ると弾力があります。

それが時間が経つにつれ、萎びてきてふにゃふにゃと柔らかくなります。鮮度 カブ

栄養価が落ちてきます。

色も褐色っぽくなります。

匂いがあまりなかったのが匂ってきます。

さらに時間が経つと腐敗してきます。

植物の生理現象から見てみると

以上の変化を、植物の生理現象から見ると、大きく以下の3つの変化が起こります。

1)水分の蒸発

切り取ることにより、株からの水分の供給は絶たれますが、蒸散により収穫物の体内の水分は抜けていきます。

これにより萎びてきます

2)呼吸による栄養分の消費

生命活動を維持するために、蓄積された栄養分を消費します。

蓄えられているでんぷんが糖化して甘くなったり、その他の成分が消費されたり変質したりします。

3)植物ホルモン

特にエチレンが関与します。

細胞壁を分解させて柔らかくさせたり、色を変化させたりします。

傷や割れなどの機械的な損傷を受けた時にもエチレンは出やすくなります。

4)その他

微生物の繁殖や、酵素の働きによる色素、匂いの合成、デンプンの分解やたんぱく質、脂肪の合成、分解など様々な変化をしています。

以上のような現象は、相互に関連しあいます。

例えば、水分が蒸発すると、収穫物の表面の気孔が閉じます。

すると、呼吸量が少なくなり、植物ホルモンのエチレンが生成します。

このエチレンにより、老化が進行したり、果菜類では追熟したりする効果があります。

収穫物の性質と鮮度

鮮度の保持について、温度や湿度などの環境面からはずいぶん前に書きました。

必要に応じて、参照頂ければと思います。

過去ログ・・・鮮度と熟成

今回は、植物自体の性質から考えてみたいと思います。

まず水分が減るのは表面積と体積の関係が重要です。

例えば、葉は体積に比べ、表面積が大きいです。%e3%83%80%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b3%e4%b9%be%e7%87%a5

従って、水分が蒸発しやすい器官と言うことになります。
(しかも葉は気孔が多いため、さらに水分蒸発しやすいです)

果菜類では、葉に比べて表面積が相対的に小さいので、水分の蒸発はしにくいです。

また、表面に保護膜もついています。

ワックス層やその下のクチクラ層といったものがあり、それが水分の蒸発を防いでいます。

ただし、ヘタの部分は水分が抜けやすいです。

この他、成熟度も影響します。

きゅうりやスイートコーンなど、未熟果を収穫する野菜は呼吸量が多いです。

逆に、成熟して老化しているものは、エチレンの合成が多くなります。

植物の種類も、もちろん関係します。

リンゴやメロンなどは、エチレンの生成量が多いことが知られています。

こういった点を踏まえて、次に保存方法について述べてみたいと思います。

かつ、特に専門的な装置は用いずに、常温保存かせいぜい冷蔵庫での保存を念頭に考えてみましょう。

野菜保存の一般論

上記のような変質が鮮度の低下の原因とすれば、この劣化の原因を取り除いてから保存するのが合理的ですね。

面倒なようでも、一手間かけることにより、保存期間はぐっと長くなります。

各原因について簡単に対策を書くと、ナス多い

・水分の蒸発・・・
新聞紙やラップ等で包むことにより、蒸発を抑えることが考えられます。

・呼吸・・・
低温にしたり、ラップで包んで酸素の供給を遮ることにより呼吸を抑えることが考えられます。

・植物ホルモン(この場合は主にエチレン)・・・
例えばリンゴやメロンなど、エチレンの発生しやすい食材とは保管場所を別にして、影響を受けるのを抑えることが考えられます。

・その他(微生物の繁殖)・・・
加熱や洗浄などで殺菌することが考えられます。

また、水分で蒸れると繁殖しやすいので風通しを良くする方法もあります。

・その他(酵素による反応)・・・
低温にして、このような反応を抑制させるか、あるいは逆に加熱して、酵素の働きをなくすることが考えられます。

以上、対策を書き連ねてみますと、いくつかの対策は同じようにできるものの、いくつかは矛盾していて、同時に対策を取れないものもあります。

従って、植物の部位や性質により、対策を変える必要があります。

少し各論について

いずれの野菜にとっても、温度と湿度の管理が重要です。%e3%83%9f%e3%83%8b%e3%83%88%e3%83%9e%e3%83%88

ただし、野菜ごとに適正な範囲が異なります。

ざっくりと書くと、果菜類や根菜は冷暗所での常温保管、葉菜類は、もっと低い温度で保存することが望ましいです。

もう少し具体的に述べると、ナス、ピーマンなどの夏の果菜は低温障害が起きやすい食材です。

これは、細胞内の水分が凍ることにより細胞が破壊されるためです。

かといって、温度が高すぎると呼吸による劣化が起こりますので、保存に適正な温度があります。

だいたい、10〜15℃くらいが良いようです。

夏の暑い盛りには、常温では温度が高すぎるので、冷蔵庫で保管することになります。

その際も、冷気に当たらないように、新聞紙やキッチンペーパーで包みます。

さらに、ラップや野菜用保存袋で保存してから冷蔵庫に入れます。

根菜も同じく、低温障害が起こりやすいので、常温保存が基本です。

が、夏場はやはり暑いので、ものによっては冷蔵庫で保管します。

ニンジンなどは、上記果菜と同様、一本ずつ新聞紙で包んで保存袋に入れてから冷蔵室に入れます。

ジャガイモは、常温のままですが、りんごと一緒に保存すると、りんごから出すエチレンが発芽を抑えるとされています。%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%a2%e5%8f%8e%e7%a9%ab

コマツナやチンゲンサイなどの葉物野菜はブランチングすることが有効です。

これは、さっと炒めたり茹でたり、熱をかけてから冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存する方法です。

このように熱を加えることにより、酵素を働かなくして変質しにくくなります。

一ヶ月以上の長期間の保存も可能です。

なお、大根や白菜など大きな野菜は、カットして保存することが多いかと思いますが、酸化と乾燥を防ぐため、ラップなどでぴっちり包装しましょう。

<まとめ>

野菜の鮮度が失われる過程は、

水分の蒸発
呼吸による養分の消費
植物ホルモンによる変化

などがあります。

これらはその収穫物の形や表面の保護層、その器官の発達段階などに依存します。

したがって、種類により保存方法をいろいろと工夫する必要があります。

単に冷蔵庫に入れると言うだけでなく、一手間かけてその植物が痛む原因を取り除くのが有効です。

<参考にした本>

茶珎和雄 園芸作物保蔵論 建帛社

徳江千代子 食品の保存テク 朝日新聞出版

<関連投稿>

鮮度と熟成

野菜の乾燥と粉作り