も木酢液もどき

今年の夏は異様な暑さでしたが、8月半ばを過ぎると急に涼しくなりましたね。

人間にとっては過ごしやすくてうれしいですが、害虫にとっても同様。

またぞろ害虫が活発に活動することになります。

防除しなければなりません。

防除法は、いろいろありますが、これまで唐辛子、ニンニクについて書いてきた流れで、今回は自然農薬について取り上げてみたいと思います。

ただし、自然農薬と言っても定義はあいまいです。

自然農薬の反対語としては化学農薬になると思いますが、化学農薬といっても元々は天然物質を加工したもの。

そして、加工する人間や機械も、元々は自然の中から生まれたもの。

自然が、自然の働きによってできたものだから、やはり自然なものと言えるのでは。

これに対して、自然農薬の代表選手といえば、酢とか木酢液とか。

しかし、これも自然由来のものを、人間や機械が加工して作ったという意味では化学農薬と同じ。

そういうわけで、どこまでが自然農薬で、どこからが化学農薬とはっきり区別できませんので、今回はあまり細かいことは気にせず進めていきます。

自然農薬の使い方

自然農薬は化学農薬に比べて、色んなメリットデメリットあります。

しかし、一番の特徴といえば、よく言えば効き方がマイルドであり、悪く言えばあまり効きません。

従って、使い方としては一回散布して終わりというわけではなく、頻繁に何度も散布するのが良いです。ふ噴霧器

だいたい、5〜7日間くらい効くとして、そのくらいの間隔で定期的に散布するようにしましょう。

それ以外では、化学農薬の使い方とそう変わりません。

散布する際には、風のない夕方が望ましいです。

害虫は夜活動することが多いですし、昼間の日射の強いときには薬により、茎葉がダメージを受ける可能性も高くなるためです。

また、雨が降ると病害菌も発生しやすいので、雨の降る前と後に散布すると効果的です。

散布する場合は、面倒ですが葉の裏側を狙います。

葉の裏側に虫がつきやすいですし、植物の吸収もいいためです。

自然農薬の種類

具体的な薬剤については、大きく3種類に分けられます。

一つは、植物とかの有効成分を持つ物質を水などで抽出した液、

一つは、微生物による発酵を利用した液、

あとは、それ以外の諸々の資材。

これらによる防除対象は害虫、病害、雑草などとなります。

防虫効果のある資材は、同時に抗菌効果も持つことが多いです。

これらは非常にバリエーションが多いです。

除草用途

雑草については、私の知る限りではあまり種類は多くありません。

米ぬか、木酢、重曹などです。SN3D0499

米ぬかは、微生物の働きを活発化させて、土壌中の酸素分を欠乏状態にして除草する、とされています。

重曹は自然農薬とみなすかどうかは疑問ですが、植物ホルモンのエチレンの働きを強めて除草するとされています。

木酢は、pHが低いので、濃い濃度でかけると除草になります。

これに、セイタカアワダチソウの根の成分を抽出して使うことも行われます。

セイタカアワダチソウの根にはアレロパシー物質が含まれていて、他の植物の繁殖を抑える効果があります。セイタカアワタチソウ根

メヒシバ等でも同じような効果があります。

重曹以外は、実際にやったことがありますが、私の経験上は最も効果があったのは米ぬかでした。

ただし、効果はせいぜい一週間程度で、その後はかえって雑草がたくさん生えてきました。

実感としては除草を自然農薬のみで行うのは難しそうです。

防虫、抗菌のための植物材料

植物は動けない分、身を守るために多かれ少なかれ毒を持っています。

従って、多くの植物について、そのエキスを使えばそれなりの防除効果が期待できます。

自然農薬ではこれを利用します。

よく使われる代表的なものとしては、

唐辛子、ニンニク、ヨモギ、クスノキ、ドクダミ、シキミ、アセビ、唐辛子の実

等々です。

いずれも、有毒成分を持っています。

特にシキミ、アセビあたりは毒性も高いです。

濃度次第ではありますが、人間にも悪影響を及ぼします。

もし使用する際は、取り扱いには十分注意しましょう。

これらの植物の防虫成分は、大きく4つに別れます。

一つはアルカロイドと呼ばれる物質。

唐辛子のカプサイシン、タバコのニコチン、ジャガイモのソラニンなどが有名です。

これらは水に溶けません。

従って、エキスを抽出する際には、アルコールや酢などを用いる必要があります。

もう一つは、テルペンと呼ばれる物質。

植物の香気成分です。

精油成分とかフォトンチッドともいいます。

クスノキの精油成分を取り出したものがショウノウで、防虫効果がいかに高いかよくわかります。

他に、ハーブやミントの香り成分もそうです。

また、シキミに含まれるアニサチンは猛毒として知られています。

テルペンも油の一種なので水に溶けません。

アルコールや酢で抽出します。

それから、硫黄化合物。

ニンニク、ネギなどに含まれるアリシンとか、ダイコンやワサビに含まれるイソチオシアネートなどがそうです。

これらの成分は、すりつぶして合成されます。

水に溶けるので、お湯で煮出すことも可能です。

最後にフェノール類。

ドクダミとか柑橘類の皮とかに含まれます。

フラボノイドもポリ(複数の)フェノールの一種。

これらは、むしろ健康に良い印象も強いですね。

フェノールに限らず、量次第で毒にも薬にもなります。

フェノール類も硫黄化合物同様、水溶性なのでお湯で煮出すと抽出できます。

もちろん、酢やアルコールを使っても良いです。

こういった植物を採取するときには、開花時期に最も成分濃度が高まります。

したがって、この時期に採取するのが良いです。

使う部位はものによって異なります。

これを抽出するわけですが、前述した通り、お湯で煮出すとか酢や木酢、アルコールを使うとかいろいろな方法があります。

いずれの場合も、抽出しやすいように細かくします。

お湯で煮出すのは数分から数10分。

芳香成分を利用したいときには、揮発しないように短時間にします。

何れにしても、作り始めてから終わるまで1日もかからないので短時間で使えるようになるのが便利です。

そのかわり、保存期間は短く、よくもって2〜3ヶ月です。

酢やアルコールを用いるのは時間はかかりますが、その分長く保存可能です。

かつ、酢やアルコール自体にも防虫効果があるので、これも期待できます。も木酢液もどき

酢の代わりに、木酢や竹酢を使うこともできます。

発酵を利用した自然農薬

植物エキスを用いる以外では、発酵を利用した方法もよく用いられます。

えひめAIなどが有名です。SN3D0790

この防除効果としては、乳酸菌が生成する酸の効果と、納豆菌の出すタンパク質分解酵素などが有害微生物の繁殖を抑えます。

他に、育てる植物の茎葉などを採取して、これを発酵させることも行われます。

その植物と共生している微生物を増やすことにより、定着させやすくします。

作り方としては、茎葉などであれば、栄養補給のために砂糖をいれ、水につけて発酵させます。

用いる植物は、病気のついていない元気な株から採取します。

その他の自然農薬

植物から有用物質を採取する以外にも諸々の資材があります。

例えば、牛乳や海藻のエキス、石鹸など。

これらは、昆虫の気門(呼吸する穴)を塞ぐことにより窒息させることを狙いとしています。

草木灰もよく用いられます。

pHを高めるとともに、ニオイによる忌避効果を狙います。

他には、青虫の死骸をすりつぶして水で薄める方法。

死んだ青虫というのは、多くの場合ウィルス病に侵されているので、そのウィルスを撒き散らすというものものです。

アオムシ版バイオハザードですね。

ぜひ試してください。私は気持ち悪いので、やったことはありませんが。

変わったところでは、卵のカラを砕いて植物の株周りに撒くというのも。

ネキリムシ等が土の上に上がってくる時に、卵の殻の先で突かれて痛くて上がってこないそうです。

以上、自然農薬は種類も方法も多岐にわたります。

ここでは、ほんのさわりについてのみしか紹介できませんでした。

もしも、この中のどれかについて少しでも興味を持って頂けたなら、別途調べ直して、ご使用頂ければ幸いです。

参考にした本

農文協編 自然農薬のつくり方と使い方 農文協

古賀綱行 自然農薬で防ぐ病気と害虫 農文協

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