今の時期は、結構多くの方が農閑期を利用して堆肥やボカシ肥を作りますね。

私もその中の一人です。

これらの資材の具体的な作り方については、本やネットでいろいろ書かれています。

そこで、今回は堆肥の原料に絞って書いてみたいと思います。

微生物資材

堆肥とは、一言で言えば様々な有機物を微生物で発酵させたもの。

ですので、必要な原料としてはまずは有機物、それから微生物とそれを生かすための水分ということになります。

ただし、微生物自体は餌となる有機物の中にもいっぱいいます。

ですから、必ずしも人間が人為的に投入する必要はありません。

しかし、実際には投入する場合も多いです。

最も一般的には、既に腐熟した完熟堆肥を混ぜます。

これを戻し堆肥と言います。

この中の微生物が働いて、堆肥化が早く進みます。

これとともに、発酵したときに発生するアンモニア分などを吸着して臭気を減らす効果もあります。

この他、えひめAIなどの微生物資材を入れることもあります。

また、市販されている種菌も多数あります。

しかし注意しなければならないのは、これらの菌は堆肥となる過程でほぼ死滅してしまいます。

つまり、たとえ微生物資材を投入しても、繁殖するのはもともと原料の中にいる微生物のうちどれかで、微生物資材はそれに対して何らかの手助けをするに過ぎないのです。
(ひどいのは手助けさえしないのもあるらしいですが)

原料有機物

次に微生物の食べ物となる主剤の有機物。

家畜排泄物や食品廃棄物、汚泥やわら、枯れ草などが主に用いられます。

この中に含まれる有機物が餌となります。

この有機物の成分の中では、主に炭素と窒素が重要です。

炭素は、一部は微生物のエネルギーとなり、一部は微生物の体となります。

窒素は、主に微生物の体の一部となります。

使用する有機物は、この炭素と窒素の比率(C/N比)を目安にして選びます。

微生物のC/N比は5くらいになり、原料の有機物はエネルギーとして消費する分、炭素が余分に必要です。

従ってC/N比は30くらいになるようにします。

複数の資材を用いる時には、各々のC/N比を、投入量に応じて平均化して算出します。

主な資材のC/N比としては、

野菜クズ・・・10~20
落ち葉・・・20~30
わら・・・50ー60
もみがら・・・70~80
完成した堆肥・・・15~20

といったところです。

なお、おがくずとか籾殻の炭素分は、微生物が利用しにくい形態になっています。

こういった資材は、C/N比で単純に評価できないので要注意です、
(これらの資材は微生物の栄養としてではなく物理性の改善のために用いられます)

原料の有機分、微生物と揃ったら、後は水分です。

堆肥作りにとっては、水分の調整が最も難しいです。

大体60%位が最も良いです。

多すぎると嫌気発酵します。

基本的には堆肥は好気発酵により作ります。

水分が少な過ぎると微生物が繁殖できません。

そのため、水分とともに空気分も必要となります。

このために、上述のおがくずや、籾殻などを使います。

これらが作る隙間により、空気分を調整します。

人間が用意する資材はこれくらいです。

あとは発酵しやすい条件を整えてやる必要があります。

必要条件としては、酸素と、温度、時間です。

酸素

好気発酵のためには、酸素は必要不可欠です。

しかし、微生物が呼吸することにより、酸素が消費されてしまいます。

従って時々切り返しをして、新鮮な空気に触れさせ、酸素を供給する必要があります。

インターネット等々には、嫌気発酵により堆肥を作る云々と書いてあるものも散見されます。

しかし、これはほぼ失敗すると思われます。

というのは、嫌気発酵は好気発酵に比べ、温度が上がりにくいので、雑草の種子や病害虫が死滅しにくいためです。

また、原料の分解が遅くなるので、完熟するまでに時間もかかります。

好気発酵でも、通常は数ヶ月かかります。

嫌気発酵では、その何倍もかかることが考えられます。

そしてその間に、望ましくない菌が繁殖して、腐敗しがちとなります。

そもそも、し尿等の液体ならまだしも、堆肥の原料で完全に空気を遮断するのは不可能に近いです。

ただし、資材が塊になった所など、部分的には嫌気的条件となっている場所もあります。

こういう塊は、上述のような腐敗の元となりかねないので、こうした意味からも、よく切り返しを行うことは重要です。

温度

上述の通り、病害菌や害虫の卵、雑草のタネなどを殺すために高温にすることが必要です。

最低でも55度以上で数日間は保たせたいところです。

そのためには、熱が逃げないように、資材の量は多い方がよいです。

望ましい分量としては、1m×1m×1.5mくらい。

ですが、そこまでの資材を集めて積み込むのも、なかなか大変です。

とりあえず、できる範囲で多めということで。

なお、念のため、多ければ多いほど良いというものでもありません。

多すぎると切り返しが大変なので、通気性を保つのに問題が生じます。

時間

堆肥化させるには、どうしても時間がかかります。

専用の装置を使ってベストな条件で発酵させても最低1ヶ月はかかります。

しっかり撹拌しなければ、1年から2年経たなければ完熟しません。

短期間で作りたいのはやまやまですが、なかなかそんなうまい話はありません。

ただし、完熟にこだわらなければ、短時間で使うことも可能です。

未熟堆肥でも、マルチングに使う(ただし植物に直接的当たらないように)とか、土に混ぜるにしても植え付けより一月以上早くして土の中で完熟させるとかであれば使えます。

その他のノウハウ

前回述べた材料の他にも、別のものを入れることもできます。

例えば、石灰。

これは、植物の骨格のとなるセルロースを分解しやすくします。

これにより発酵を早めることができます。

化学肥料を混ぜてみても、良いかもしれません。

微生物の餌となります。

微生物には、有機物以外にもいろんなものを食べるのがいます。

植物が利用するものは、何かしらの微生物も利用できます。

あと、前述の通り、切り返しは重要ですが、最初はわざとすぐには切り返さないというのもあります。

これにより、温度が十分高くなります。

まとめ

堆肥の原料としては、有機物、水、微生物資材があります。

有機物はC/N比が20~40くらい、水は60%くらいになるようにします。

発酵を促進させるためには、戻し堆肥などの微生物資材が有効です。

これらを混ぜて好気発酵させます。

また、原料を堆肥化させるためには、温度と時間、酸素分が必要です。

しっかりと切り返しをするとともに、保温などにより温度を確保しましょう。

堆肥は原料の種類が多い上、活動する微生物も多岐にわたりますので、いろんな作り方、使い方を工夫して行うことができます。

いろいろ工夫してみましょう。

参考にした本

中井裕 伊藤豊彰 大村道明 勝呂元 編 コンポスト科学 東北大学出版会

農文協編 ボカシ肥、発酵肥料とことん活用読本 農文協

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