寒じめホウレンソウ2今年の冬はずっと暖かかったですが、さすがにここにきて、本格的に寒くなってきました。

ところで、寒いのは人間だけではなく、植物も同じ。

今回は、植物の寒さに対する反応について述べてきましょう。

低温による障害

寒さが厳しいと、植物も障害を受けますし、程度が激しいと枯れてしまいます。

この時の、寒さによる障害の原因は、2種類あります。寒じめ高菜

一つは温度がマイナス20度とか30度とか、強烈に低くなるため。

もう一つは、ずっと暖かかったのが、急に冷えるため。

細かく区別すると、前者を寒害、後者を霜害といいます。

いずれも、凍結による被害です。

低温障害のメカニズム

凍結することにより、どのような過程で植物は被害を受けるのでしょう?

まず、温度が低下すると、最初は細胞の外で凍結し始めます。

細胞の中には、糖分とかイオン類とか、いろんなものが溶けているので、凍結する温度がより低くなっているためです。

それで、細胞の外で凍結した時、その氷が水をひきつけます。

ちょうど、冷凍庫で作った氷を手に取ると、その氷がくっつくようなものです。

細胞の外で、そのような現象が起こることにより、細胞の中の水が吸い出されていきます。

これにより、細胞の中と外で圧力のバランスが変わり、細胞膜が変形して損傷します。

また、細胞の中は糖分とかイオン類とか、いろんなものが溶けていますが、水が抜けることによりこれらの濃度が高くなりすぎます。

これらが原因で、細胞が死んでしまい植物はダメージを受けます。

低温馴化

ただし、このような障害も、多少の寒さであれば、一定期間(数日から数週間)少し寒いくらいの気温に当たることで耐えられるようになります。

これを、低温馴化といいます。寒じめやまくらげ

障害に耐える耐え方としては2種類あります。

一つは、凍結しても大丈夫なように体質が強化されます。

細胞膜や細胞壁が変質して、損傷が受けにくくなったり、あるいは凍結により壊れた時にも修復できるようになります。

もう一つは、凍結自体が抑えられます。

細胞内の糖分が体に蓄積されたり、脂質が変化したりします。

そのために、光合成によって糖の合成が活発になったり、また糖はデンプンで蓄積されますが、そのデンプンの合成量が少なくなったりします。

さらに、呼吸が低下することにより、糖の消費が減ります。

このように、寒さにわざと当てて甘い野菜を作ることを寒じめと言います。

寒じめホウレンソウとか、寒じめ小松菜とか、よくスーパーで売っていますね。

なぜ糖分でなければならない?

ちなみに、なぜ糖を蓄積するのか、他のものではダメなのか?と言う疑問も生じます。

これは、糖が水に溶けやすく、電気的に中性のためです。寒じめホウレンソウ

そのため、細胞内の核酸やたんぱく質の周りにくっついて、これらを保護する働きもあるのです。

こうした植物の自衛反応により、甘い小松菜や小松菜が食べられるようになるのですね。

<参考にした本>

岩手大学21世紀COEプログラム事業編 温度と生命システムの相関学 東海大学出版会

真木太一 風と自然 開発社

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