今年の出来栄えを反省し、来年に繋げましょう。
まだかなり早いですが来年の計画も。
計画としては、まず真っ先に決めるのは何を作るか、
そして次に決めるのは、どんな品種か、です。
今回は、品種として、地方の在来種をお勧めしたいと思います。
地方の在来種の生産
まずは社会的意義について考えてみましょう。
最近では、作物の種は一部の大企業が世界的に展開して販売しているのが現状です。
世界の種子販売の半数以上が、一部の多国籍企業によるものです。
日本でも幾つかの企業が販売していますが、世界的には弱小メーカーに過ぎません。
世界規模の種子販売として有名なのは、某化学メーカーと合併する○ンサント社
農薬の○ウンドアップを作る会社でもあります。
遺伝子組み換え技術で、○ウンドアップを撒いても枯れない作物を作り、○ウンドアップと一緒に売ります。
農家は、除草の際には何も気を使うことなく、○ウンドアップを上からばら撒けば良いだけ。
大変、便利です。
ここまでではなくても、現在、大規模に生産、販売されている品種は、病気に強いとか、収穫量が多いとか、いろんなニーズに沿ったものが生産されています。
その結果、手軽に高品質の作物を作ることができます。
そうしたことで、世界的に在来品種は作られなくなってきています。
生物多様性の観点から
上記のような生産品種の単純化は、生物多様性の観点からは危険とされています。
ある品種の遺伝資源(種とか球根とか)が一旦なくなると、同じ品種は二度と作ることができなくなります。
それで、例えば異常気象とか、昔の品種の新たな効能の発見とかで、その品種が必要となった時にも、手遅れとなります。
生物多様性などと大上段に振りかぶらなくても、ちょっと悲観的な想像をしてみるとよいかもしれません。
このままグローバル化が進んだり、TPPなどで規制撤廃が進んだとします。
その結果、世界的な大企業が日本の種苗メーカーを駆逐したとします。
そうなると、遺伝子操作作物とか、日本人の好みに合わない種子を否応なく使わざるを得なくなることが予想されます。
余談ながら、これは野菜とかの生物に限らず、社会現象とか人工物なども同じ。
昔の電気製品は、電子レンジでもテレビでも全然壊れませんでしたが、今のはすぐ壊れます。
壊れないのがいいと思っても、今や昔のようなシンプルで頑丈な電化製品は売っていなません。
世の中、必ずしも進歩しているわけではなく、ただ変化しているだけ、という気持ちにもなります。
昔の野菜の品種もそんなものかもしれませんね。
遺伝子汚染
これに加えて遺伝子汚染という問題もあります。
これは、外来の植物が移住すると、元の植物と交雑して、元の植物の遺伝子が変化するというものです。
例えば、トウモロコシなどは、花粉が何百メートルも離れた所まで飛んでいきます。
また、アブラナ科の野菜はほぼ他家受粉して、自分のもの以外の花粉で種を作ります。
従って、こうした植物について、在来品種を自家採種して守っている農家がいても交雑の可能性が高くなります。
その結果、その在来品種の遺伝的性質が変わっていくことになりかねません。
このようなことで、在来品種の保護のニーズは世界的に高まっています。
そして、ジーンバンクなどの施設により、種や花粉などの遺伝情報が大規模に保管されています。
地方品種を使用するメリットとデメリット
地方品種を守る意義について、長々と述べてきましたが、はっきり言ってそんなのは国や県の仕事です。
一生産者が、そんなことまで責任を持つ必要はありません。
私たちにとって重要なのは、それがメリットになるかどうかです。
そうした点で、地方品種を使用する意義はあるのでしょうか。
有機農法とか、自然栽培とかを志向する人にとっては、地方品種は使いやすいと考えられます。
その土地に馴染んでいて、昔ながらの農法で育てられ、選抜されてきたためです。
逆に現在の品種は、多肥や農薬の大量投入を前提としたものが多いです。
その結果、糖度が高かったり収穫量が多いというメリットがあります。
しかし、そのようなものはやはり、虫にも食われやすくなります。
一方のデメリットは、メリットの裏返しと言うことになります。
普通に多肥や農薬をしっかり使って栽培する方であれば、地方の品種のメリットは感じにくいでしょう。
また、昔ながらの味なので、現在の野菜に慣れた我々にはやや馴染みがないかもしれません。
私の子供の頃は、ニンジンやピーマンは匂いがきつく、子供にとっては嫌いな野菜でした。
それが今では、ニンジンは好きな野菜に入っているようです。
(残念ながらピーマンはまだ嫌いらしいですが)
果菜も、糖度があまり高くなく、物足りなく感じる可能性もあります。
ただし、昔ながらの味だといって逆に喜んでもらえる場合もあるので、場合によるとは思います。
入手方法
以上のメリット、デメリットを勘案して、使うべし、となったら種を入手しなければなりません。
どこから買うかというと、まずは地元の種屋さんが考えられます。
地元の種屋さんは、どんどん減ってきていますが、それでもまだ細々と残って、地方の在来品種を残して販売しているようです。
インターネットでも地方の品種を取り扱っている種屋さんはあります。
野口種苗さんとかが有名です。
また、地方によっては、その県独自にジーンバンクを作って、地元に提供している例もあります。
あと、大手メーカーであっても、モノによっては取り扱っている場合もあります。
ウリ科やナス科の果菜類でも、完熟果を販売しているのであれば簡単に取れそうです。
大根やカブなど、葉と根がついていれば、再び埋めれば活着するかもしれません。
欲しい品種が決まったら、いろんなルートで
探してみましょう。
意外なところから、見つかるかもしれません。
<まとめ>
種苗産業のグローバル化に伴い、地方の在来品種が少なくなっています。
これは、生物多様性の観点からは、必ずしも望ましくありません。
その地方独自の在来品種を作ってみるのも面白いかも。
地方の在来品種は、昔ながらの農法で作られてきたため、有機農法や自然に近い農法で栽培する場合は、相性が良いです。
入手ルートとしては、地元の種屋さんやインターネット他、様々なルートで探してみましょう。
<参考にした本>
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