田園

今回は、土壌の窒素と微生物との関係についてです。

植物にとって、窒素は欠かせない栄養分。

しかし土壌を構成する鉱物の中には、窒素は含まれていません。

幸い、大気中には窒素がふんだんにあるのでこれを土壌中に取り込むことになります。

窒素の循環

まずは、マクロに見てみましょう。

地球全体で、年間およそ2億トンの窒素が大気から土壌中に取り込まれます。

これは、主に三つの経路を経ます。

一つは微生物の働きによるもので、全体の6割くらいを占めます。

もう一つは、人間が工業的に作り出したもので、これは4割程度。工場

こうしてみると、人間の分もずいぶん多いものですね。

最後の一つは、雷が落ちる時に、雷のエネルギーで窒素ガスが酸化するものです。

これは雨水に溶けて、地面に降ってきます。

これは全体の2から3パーセンくらいです。

それでは、以上のような経路で固定された窒素は土の中でどうなるでしょうか?

一つは、またガスになって抜けていきます。

一つは植物に取り込まれます。

一つは水に溶けて川や海に流れていきます。

これら三つとも微生物の働きが大きく寄与します。

このような、窒素を固定する場合と固定した窒素の変化それぞれについて、以下で見ていきましょう。

窒素固定と菌

大気中の窒素を固定する菌は多数あります。

有名なのは根粒菌。

主にマメ科の植物の根に入り込んで、植物と共生します。

根粒菌は、植物から栄養分をもらう代わりに窒素をアンモニアの形に変えて植物が取り込みやすくします。

他にも窒素を固定する菌はいます。

アゾトバクターといいます。

これは、植物と共生せずに単独で窒素固定します。

ただし、根粒菌のほうが窒素を固定する能力は10倍くらい高いです。

やはり、共生している方が役割分担できて効率が良さそうですね。

土壌中での窒素の変化

大気中の窒素は、微生物によりアンモニアとして固定されます。

アンモニアは水に溶けてアンモニウムイオン(NH4+)となっています。

このようなプラスのイオンは、土壌中の有機物や鉱物に吸着されるので、強く保持されています。

しかし、これは微生物によって形を変えていきます。雨

まず、亜硝酸菌により、亜硝酸イオン(NO2ー)に、さらに硝酸菌により硝酸イオン(NO3ー)になります。

さらにさらに、硝酸イオンは脱窒菌により一酸化窒素(NO)や一酸化二窒素(NO2ー)、あるいは窒素ガス(N2)にして大気に放出されます。

また、これとは別に、亜硝酸や硝酸イオンなどのマイナスイオンは土に吸着されにくく、雨などで容易に川に流れ出ることになります。

なお、尿素を畑にまいた時なども、尿素分解菌等により分解されてアンモニアになり、以降は同じ過程を取ります。

畑の窒素をよく聞かせるには

植物にとっては、最も利用しやすいのが硝酸イオンで、作物の種類によってはアンモニウムイオンも取り入れやすいです。

亜硝酸イオンは植物にとっては猛毒となります。

従って、硝酸イオンの形で長く保持することが望ましいです。

これに対して、今回出てきた硝酸菌、亜硝酸菌、根粒菌、アゾトバクターはいずれも好気性菌。

また脱窒菌は、嫌気条件になった時に、硝酸イオンを窒素ガスに変えます。

従って、できるだけ好気条件にする必要があります。

このためは、団粒構造の発達した水はけの良い土が良いということになります。

また、これらの菌にとって好適なpHは弱酸性です。

酸性が強すぎると菌が働きにくくなり、アンモニアが亜硝酸や硝酸に変換されにくくなります。

さらに酸性が強くなると、これらの菌は死滅してしまいます。

逆にアルカリ性だと硝酸菌が活動できなくなり、亜硝酸がたまってしまうことになります。

まとめ

植物に必要な窒素は、菌の働きが大きな役目を果たしています。

彼らの活動を活発にさせるためには、土を弱酸性の好気条件とすることが望ましいです。

<参考にした本>

横山和成監修 図解でよくわかる土壌微生物のきほん 誠文堂新光社

堀越孝雄 二井一禎 土壌微生物生態学

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