寒い時には農作業も少ないですね。

こうした時に、アウトプットのバリエーションも増やしてみたいものです。

新たに農産加工品を作ってみるとか。

その中でも、代表選手として漬物があります。

そこで、今回は漬物についてです。

まずなぜ漬物か

漬物は、野菜や魚などの食材を漬け床につけたものですが、この目的は二つあります。

一つは食品の保存性を高めること。

もう一つは風味を出したり、柔らかくしたりして食べやすい形に変えることです。

このようになるためには、浸透圧という現象を利用しています。

浸透圧とは、一言で言うと、水の中に何かが溶けている時にその溶液中に水が浸透していく力です。

代表的な漬物として塩漬けを考えてみるましょう。

細胞は細胞壁と細胞質でできていて、その間を細胞膜という膜で隔てられています。

濃い塩水の中に野菜を入れると、浸透圧により、細胞質の中の水分が細胞膜を通して外に抜けていきます。

これにより、細胞壁と細胞膜の間が剥がれてしまいます。

そして、その剥がれた隙間に、塩水が侵入していきます。

この脱水と塩分により、有害微生物による繁殖が起こりにくくなり保存性が高まります。

効能

何十年か前は、漬物というと栄養のない食べ物と言われていたように記憶しています。

今でも、きちんと漬けていない安価な漬物は、添加物や着色料がふんだんに使われていて、あまり健康によくないと思われています。

しかし、昔ながらの方法できちんと作られた漬物は、健康によいとして、さまざまな効果が謳われています。

効果としては以下の通りです。

1)上述のとおり、脱水して萎びるため、食べやすくなります。

量もかさばらないため、たくさん食べられます。

そもそも、野菜には繊維質やビタミンが多く含まれているので、たくさん食べることにより、これらの有効成分を効率良くとることができます。

2)漬け床の成分の染み込みがあります。

特に、ぬか漬けとか味噌漬けには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

漬物を食べることにより、これらを補給することができます。

3)漬け床につけることにより、野菜の生命活動が停止します。

新鮮な野菜を食べるのであればいいのですが、使わずに保存していると、多かれ少なかれ呼吸によるエネルギー(糖質)の消費が起こります。

生命活動を停止させると、この消費が防がれます。

しかし、野菜の中の酵素が失われるわけではないので、この酵素反応による自己消化が起こります。

その結果、アミノ酸分などが増加します。

4)熱を加えなくてもそのまま食べることができます。

茹でたり、加熱したりすることにより、ビタミンB1やビタミンCは失われやすくなります。

漬物は、これらをそのまま摂取することができます。

以上、結構たくさんありますね。

一方で、塩分がどうしても多くなりがちなのは注意しなければなりませんが、それを差し引いても、体にはよさそうです。

健康面では、やはり発酵させたものがよいですね。

発酵させると、ますます健康面で優れた機能が得られます。

漬物にも発酵させたものとさせていないものとあります。

梅干しや塩漬けの浅漬けなどは発酵は利用していません。

同じ塩漬けでも数日置いておけば発酵します。

発酵原理

漬け床の中で、主に乳酸菌が活動します。

乳酸菌にもいろんな種類があります。

塩分濃度や温度に応じて、それぞれに適した種類の乳酸菌が活動することになります。

材料中の糖分を利用して乳酸を作ったり、その他有用な成分を合成します。

乳酸菌以外では酵母菌が活動します。

酵母菌は、この体自体が優秀なアミノ酸を持つ優れた健康資材です。

また、多くの場合、漬けてから保管する際に重石を乗せます。

これは、食べ物の中の水分をさらに出す働きとともに、空気を遮断して乳酸菌の発酵を促進する働きもあります。

ちょっと変わった漬物

日本は、漬物王国というくらい漬け床、食べ物の組み合わせで色んなバリエーションがあります。

そこで、ちょっと変わった漬物をいくつか。

代表的な変わり種漬物としては、何と言ってもフグの卵巣のぬか漬けがあります。

猛毒を持つフグの卵巣を、塩漬けとぬか漬けの組み合わせで二年ほどかけて無毒な食べ物にします。

海産物関連では、他に、このわたというのもあります。

これはナマコの内臓を塩漬けしたもの。

有明海の干潟で取れたカニを砕いて発酵させた、がん漬けというのもあります。

漬け床としては、変わったものでは山の赤土を使う人も。

他にも、かぼちゃとかジャガイモとかを潰して漬け床にするとか、

あるいは、竹を粉に引いた竹パウダーなども。

ありとあらゆるものが漬け床に使われていて、面白いですね。

それでは作ってみよう

上述の通り、材料は多種多様。

よく使われる食材材料としては、野菜、果実、魚、肉、等々あります。

漬け床としては、みそ、塩、醤油、酢、酒粕、麹、米ぬか、等々。

後は必ずしも必要ではありませんが、味付け用にトウガラシ、ニンニク、ワカメ、鰹節、等々。

ナスとかだと、変色を防ぐためにミョウバンやさびた鉄釘を入れたりもします。

自分で作った野菜であれば、やはり旬のものとかキズもの、あるいは摘果した未熟果、普段使わない部位などもを使ってみるのも面白そうですね。

果菜の茎葉の部分とか、葉菜のとう立ち部とか。

ただし、何れにしても一般的には新鮮な方がおいしいようです。

つけ時間も色々です。

漬けてから数時間で食べる即席漬けから、何年も漬けるひね漬けまで。

また、漬け方も単に漬け床の中に入れて出すだけではありません。

一旦、塩漬け等で下漬けしたのちに、塩を洗い流して別の漬け床に漬ける二度漬けもよく行われます。

あるいは、事前に茹でたり、干したりという前処理も。

バリエーション豊富なため、新たな組み合わせなども容易に考えられます。

新しい「おふくろの味」などできれば面白いですね。

漬け床が痛まない工夫

糠漬けなどずっと使い回す漬け床では、使っているうちに水が溜まってきたり変な匂いがしたりして痛むことがあります。

それを防ぐためのいろんな工夫もあります。

例えば、たまごの殻を混ぜたりします。

これは、乳酸発酵が進みすぎて乳酸が多量に生成した時に、カルシウムで中和するためです。

使用の際には、殻はよく洗って使うようにしましょう。

パン粉を入れることもあります。

水分が多くなりすぎた際に、水分を吸わせるためです。

また、このパン粉を餌に、乳酸菌等の発酵を促進させる効果も。

あとは、大豆とか乾燥させた食材を入れる人もいます。

単に水分を抜きたいだけであれば、スポンジを中に入れることもできます。

あるいは、水分が高まったときの弊害として、カビるのが問題であれば、山椒とかを入れることもできます。

漬物嫌いな人も

漬物の嫌いな人は多いですね。

理由は体に悪い、というのと独特の味の二つが多いようです。

確かに、市販の安物の漬物はきちんと発酵させずに調味料につけただけとか、着色料や保存料をいっぱい使ったものとかが多いです。

こういったものは、確かにあまり食べる気がしませんね。

しかし上述の通り、きちんと漬けたものであればむしろ体に良い場合が多いです。

漬物嫌いのもう一つの大きな理由としては、独特の強烈な匂いと味。

これは慣れなければ仕方ありません。

とは言っても、嫌いな人がわざわざ慣れようとは思わないでしょうね。

しかし慣れた時の美味しさは格別。

今までなんで嫌っていたんだろう?というくらい、好んで食べるようになることも多いです。

お酒でも、幼少期に何かの拍子に飲んで、まずい!と思った人は多いはず。

それが大人になると、うまい!となるわけです。

味の感じ方は文化であり、文化に馴染むにはそれ相応の努力が必要。

その先には、至福の時が待っていることでしょう。

まとめ

漬物は、いろんな漬け床に食材を漬け込むことにより保存性と食味、が高まります。

栄養面でもきちんと漬けたものであれば、ビタミン、ミネラルを効率良く摂取できます。

身近にある食材を使って、あれこれ工夫して作ってみるのも楽しいものです。

意外な組み合わせで新しいおふくろの味を目指しましょう!

参考にした本

坂本卓 発酵食品の科学 日刊工業新聞社

小泉武夫 発酵はマジックだ 日本経済新聞出版社

農文協編 至福の漬物 農文協

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