ここで見てきたように、不耕起栽培とマルチは相性がいいことがわかります。
そこで今回はマルチについて、もう少し掘り下げて見てみたいと思います。
さらに、マルチ以外の被覆方法についても概観してみたいと思います。
個々の被覆方法
被覆の方法については、タイトルのように、大きくマルチ、トンネル、べたがけがあります。
既にご存知とは思いますが、おさらいをしてみます。
まず、マルチは土の表面に何らかの資材を敷く方法です。
作物の茎から上の部分は、マルチの外に突き出た形となります。
マルチの資材は非常に多彩です。
藁とか籾殻、枯れ草、ポリフィルム、紙、堆肥やおが屑など数え上げればきりがありません。
トンネルは、プラスチックとか竹の支柱でかまぼこのような半円形の骨組みを作り、その上に被覆資材をかけるものです。
かける資材は主にポリフィルムです。
べたがけは、作物の上に直接かけるものです。
主に寒冷紗や不織布、ネットなどが用いられます。
寒冷紗や不織布をトンネルの上にかけるのは、トンネル栽培ではなく、べたがけの一種です。
作物から浮かせてかけるので、浮きがけという方法になり、さらに細かく言えばトンネルがけとなります。
まあ、細かい言葉の定義はどうでもいいですが。
メリットとデメリット
いずれの方法も、メリット、デメリット両方あるので、うまく使いこなす必要があります。
共通するメリットとしては、何と言っても保温効果でしょう。
これが第一の目的ということにもなります。
この他、
・雨や風によって、土壌や中の肥料分が流亡することを防ぐ働き
・雨の跳ね返りによって、作物が汚れたり病気になったりするの防ぐ働き
など様々あります。
これに対して、デメリットは何もしないよりも一手間かける分、面倒というのがあります。
特に片付けはそうですね。
また、かけた後の追肥や冠水などの作業もしにくいです。
これらを踏まえて、次に個々の被覆方法に見てみたいと思います。
トンネル栽培
作物全体を暖めるのが、何と言っても大きな魅力です。
日中の保温効果は、特に高くなります。
従って、夏野菜の促成栽培などに有効です。
その反面、晴天時には温度が高くなりすぎる面もあります。
あと、昼間はいいですが、夜間はかえって夜間の温度が下がる場合もあるので、注意が必要です。
放射冷却により低温になりやすい夜間など、トンネルでぴっちりと締め切ってしまうと、風の通りが抑えられるためです。
風は、放射冷却を防ぐ働きがあります。
従って、夜になるとトンネルの裾をあげて風を入れることもされます。
また、風でトンネルが剥がれやすいことにも注意が必要です。
マルチ
資材がいろいろあるので、目的に合わせて使いこなすことになります。
例えば、
・黒のポリマルチを使うことによる雑草の抑制、
・シルバーマルチによる虫の忌避効果、
・堆肥マルチによる植物の根圏環境の改善、
等々、いろいろあります。
あとはいずれのマルチでも、土壌の保湿効果が期待できます。
デメリットについても、資材によりいろいろです。
ポリマルチの場合は、追肥や潅水が特に困難です。
また使用後の後片付けも面倒です。
使えなくなった時のゴミの問題もあります。
籾殻とかおが屑とかだと、風で飛んでマルチの効果がなくなることがあります。
何れにしても資材次第ですが。
べたがけ
べたがけは被覆する資材により、夏場の高温時に遮熱できるのが大きな特徴です。
あとは、防虫、防鳥効果もあります。
ただし、防虫効果については、隙間があると入ってくるので実際にやってみると結構むずかしいです。
かえって、害虫を飼っていることにもなりかねません。
問題点としては、雨で重くなって作物が曲がることもあります。
あとは、潅水にも要注意です。
べたがけの上からかけても良さそうなものですが、実際にやってみると土に染み込む量はさほど多くなく、乾燥して枯れることもあります。
こうしたメリット、デメリットを踏まえて、目的に応じて資材を変えたり他の方法と併用したりしたいものです。
まとめ
被覆する栽培方法としては、主にマルチ、トンネル、べたがけがあります。
保温や土壌の流亡を防止するなどの多くのメリットがある反面、作業がしにくいなどのデメリットもあります。
目的に応じて、柔軟に使用する素材や被覆方法を変えてうまく使いこなしましょう。
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