堆肥は個人でも比較的簡単に作れますし、使い方も簡単ですし、いろんな応用もききます。

作る際にも、身近にあるいろんなものを使うことができます。

まずは主要原料について見て行きましょう。

最も一般的なのは牛糞堆肥ですが、今回はそれ以外で比較的簡単に手に入る素材について特徴を見てみたいと思います。

米ぬか、わら、モミガラ

これらは家畜糞と並ぶ横綱級の堆肥原料ですね。

これについては、以前に書きました。

こちら →  米ぬか、ワラ、およびモミガラ

おさらいを兼ねて簡単に特徴を述べますと、

米ぬかは成分としては、食物繊維やミネラル分、脂質等が多く含まれ、微生物のよいエサとなります。

従って、堆肥を作る時に微生物を活動させる原料として欠かせない材料となっています。

あとは、窒素、リン酸、カリなどの植物に対しての有効成分も多く含まれています。

わらは栄養価としては、他の草などには劣りますが、中が空洞になっているので、通気性が良いです。

従って、保温性能が高く軽いです。

モミガラは、微生物に分解されにくい資材です。

また、中のお米が抜けた、舟のような形をしているので、通気性がよくなっています。

また、肥料分として最も気になる窒素が少ないのも特徴です(CN比で70~80くらい)。

落ち葉

落ち葉もよく使われますね。

カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が多いのが特徴です。

あと、すでに地面に落ちて朽ち始めていますので、容易に発酵して堆肥になりやすいです。

注意としては、広葉樹の葉っぱを使った方がよいようです。

針葉樹は分解しにくいです。

多肉や銀杏の葉っぱなども分解しにくいです。

廃木材、チップ、おがくず

C/Nが非常に高いです。(木の種類にもよりますが、100以上)

ですが、その炭素分もリグニンのような微生物が分解しにくいものが多いので、ちょっと割り引いて考えた方がよいかもしれません。

成分のその他の特徴としては、フェノールやタンニンなど、植物の生育に悪影響を及ぼすものも含まれています。

少量であればいいですが、大量に混ぜる場合は、時間をかけてしっかりと発酵させる必要があるでしょう。

ちなみに、樹種や部位により分解されやすさは異なります。

針葉樹よりも広葉樹の方が分解されやすいです。

また、葉っぱとか幹の表面とかは芯の部分よりも分解されやすいです。

あとは、廃材のような塊だと分解されにくいので、よく発酵させるためには出来るだけおがくずのように細かい粉にする方が良いです。

都市ゴミ

都市ゴミと言っても色々ありますね。

紙とか食品クズとか木材とか。

そこらへんに捨ててあるゴミを拾ってきて堆肥にする人は少ないと思いますが、家庭のゴミにせよ何にせよ、十分な分別が必要です。

また、家庭の食品のゴミは、水分が多すぎるのでそのままでは腐敗菌が発生する可能性が高いです。

十分乾かすとか、他の資材と混ぜるとかして、水分を調整することが重要となります。

汚泥

昔、畑の横の用水路のドロを乾燥させて、堆肥にしたことがあります。
(結構取るのが大変だったので、今はやっていません)

成分としては、窒素分が多いです。(CN比で10弱)

あとは、リン酸とかミネラル分も多いです。

ただし、成分は取れる場所によって大きく異なります。

街中だと、重金属がまざっている可能性が強いので、やらない方が無難でしょうね。

他の問題点としては、雑草の種などが混ざっている可能性があるため、やはり十分な発熱によりタネを死滅させることが必要があります。

あと、ドロは粒子が細かいので通気性を確保するためにモミガラなどの通気性の良い素材を混ぜた方が良いです。

製造食品カス

近くに食品工場がある場合は、そこの廃棄物をただ同然で貰えるかもしれませんね。

食品によって性質が違いますが、元の原料から成分は概ねわかるでしょう。

オカラなど豆由来のものは、窒素分が高いので肥料としても価値も高いです。

他の資材と混ぜて濃度調整するにも便利ですね。

コーヒーかすは、多孔質なので匂いを消すのに有効です。

反面、発芽抑制物質を含んでいるので、やはり十分な発酵が必要。

また、窒素はそこそこ多いですが、水に溶けにくい形となっており、植物には利用しにくいので、他の窒素の多い資材と混ぜる必要があります。

同じような資材で茶殻もありますが、コーヒーかすとの違いは、利用できる窒素がより多いことです。(CN比12くらい)

あと、面白いところでは、きのこの廃菌床なども。

pHが低く、CN比が高いですが、分解能力が高く発酵を進ませやすい、雑菌の繁殖が起こりにくいというメリットもあります。

堆肥使用時の注意

以上のような材料を使って堆肥を作ったとして、あるいはどこかで買ったとして、次のシーズンでこれを使うことになるかと思います。

堆肥は土をよくするために投入するわけですが、では入れれば入れるほどいいのか?

堆肥を入れさえすれば、それでいいのか?との素朴な疑問も湧くかも。

というわけで、堆肥を入れる際の注意点、問題点についても見てみましょう。

肥料成分についての注意、窒素過多

よく言われることですが、堆肥の役割は肥料分の補給ではなく保肥力にあります。

何らかの肥料を施した時に、その肥料が雨で流れてしまわずに、植物が吸収するまで土にくっつけてくれる必要があります。

それを手助けするのが、堆肥の役割です。

とはいえ、堆肥も養分を持っています。

この肥料分はすぐに植物が吸収されるわけではなく、何年も(10年以上)かかって徐々に徐々に分解していきます。

とすると、毎年堆肥を投入していくと、肥料成分はどんどん増えていくことになります。

特に、最近の家畜フンを用いた堆肥では肥料分が多めになっています。

というのは、昔は糞を野積みして作っていたため、降雨で肥料分が流れていたのですが、今は公害対策で野積みが禁止になったため、肥料分がそのまま残る
ようになったのです。

その肥料成分の中では、最も気になるのは何といっても窒素ですね。

窒素は多すぎること自体、収穫に影響します。

果菜などでは、茎葉ばかり茂り過ぎて、収穫が少なくなってしまいます。

葉菜、根菜では、植物体内の窒素が硝酸態窒素として蓄積するのでやはりよくありません。

食味を損なうとともに、人体にも悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
(健康には問題ないとする説もあり、結論はついていないようです)

あとは土壌の窒素分が微生物により亜酸化窒素になってガスとして抜けていきます。

これは温室効果の高いガスなので環境にも悪影響が及ぼされます。

また、窒素分が水に溶け出し、川や海に流れて環境汚染の原因にもなります。

リン酸、カリ過剰

窒素以外の肥料成分も過剰になります。

リン酸は、特に豚糞堆肥で多いです。

リン酸過剰による植物の害は、あまり大きくはなさそうです。

しかし、やはり一部が水に溶け出し環境汚染の原因になります。

カリは堆肥全般に多いです。

カリが過剰にあると、拮抗作用でマグネシウムやカルシウムが取り入れにくくなります。

その結果、病気や生理障害になりやすくなります。

微量成分

豚糞堆肥では銅や亜鉛が過剰になりやすい傾向にあります。

豚の餌にこれらが入っているためです。

これらは、植物にとって必須の成分ではありますが、多すぎると害になります。

汚泥堆肥では重金属が多く含まれます。

ここでも銅や亜鉛と、他には水銀、カドミウム、鉛などが含まれることもあります。

未熟害

だいぶ前のニュースなのですが、堆肥を入れたら作物が枯れたという記事を目にしたことがあります。

その堆肥は、牛糞堆肥だったと思いますが、中に除草剤の成分が入っていたそうです。

その牛の餌の植物に選択性(特定の種類の雑草のみに効く)の除草剤を撒いていた、

それを牛が食べて、糞をして、その糞を人間が堆肥にした、

しかし、除草剤の効き目が残っていた、

ということのようでした。

普通は、発酵させる過程で除草剤の成分も分解するはずですが、それが分解せずに残っていたとすれば、十分な発酵が行われなかったことが考えられます。

このように、未熟な堆肥を用いると、様々な弊害が出てくる恐れがあります。

上記は植物が枯れた例ですが、逆に雑草がいっぱい増える可能性もあります。

これは、雑草の種が死滅しなかった場合です。

普通は堆肥化の過程で高温になって死ぬのですが、温度が足りなかったことが考えられます。

設備の整ったところで作った堆肥なら大丈夫かもしれませんが、個人で作る分にはどうしても積み込んだ堆肥の端っこなど温度が高くならないこともあるでしょう。

このように温度が高くならないと、雑草の他に、病害虫も生き残っている可能性もあります。

それを土にまくと、生き残りの病害虫が発生することになります。

この他、未熟な有機分が残存していることも問題となり得ます。

その中には、フェノールや揮発性の有機物など、植物に害を及ぼす成分が含まれているため、植物の生育が抑制される可能性もあります。

あと、微生物の問題も。

未熟な堆肥を土に入れた時に、このような未熟な有機分を土壌微生物がこれを食べて爆発的に繁殖します。

これにより、土壌中の酸素がなくなってしまいます。

また、微生物が窒素を取り込むことにより、植物の方は窒素飢餓になる場合もあります。

さらには、有機物が急激に分解する過程で有害なガスなども出やすくなります。

これらの一つまたはいくつかにより、生育不良となりがちです。

雑草

未熟堆肥で雑草の種が残っている場合は、上述した通り雑草が生えやすくなります。

そうでなく完熟した堆肥であっても、雑草は生えやすくなります。

理由は簡単で、堆肥の投入により雑草も育ちやすい環境になるからです。

言われてみれば(言われなくても?)当たり前ですね。

対策

以上、様々な問題を針小棒大に取り上げて見ました。

そうはいっても、こうした問題があるからといって堆肥を使わないのは本末転倒。

メリットは最大限享受してデメリットを避けたいですね。

まずは、過剰に施用したときの肥料成分の問題については、単純は適正量を守ることが考えられます。

適正量としては、反あたり2トンと言われています。

とはいえ、土壌により必要量は当然変わります。

詳しくは、土壌診断して入れる量を決めるのが本筋かと思います。

また、堆肥を作ってはみたが、肥料分が多すぎるという場合には、パーク堆肥を混ぜるという方法もあります。

パーク堆肥は樹皮を発酵させたもので、肥料分がごく少ないので、肥料分が多いものと混ぜて薄めることができます。

あと、全面に撒いて鋤き込むのではなく、植え穴だけとか、溝部だけとかの、局所施肥も有効です。

このような局所施肥は、雑草の繁殖を抑えるのにも有効です。

未熟害の対策については、当然ながら未熟堆肥を使わないという対策となります。

もし使うとしても、表層施肥とかマルチがわりとかで土に鋤き込まないような使い方をしましょう。

どうしても、鋤き込みたい時には、土の中で発酵を進ませるために、植物の植え付けまでに十分な時間を置きましょう。

まとめ

堆肥の原料は、無理して貴重なものを手に入れるよりも、身近に手に入るものを使いましょう。

また、使う際には、その素材のもつ性質をよく理解しましょう。

そうすると、CN比とか、pHとか、気になる点も出てくると思います。

それを打ち消すために、いろんな種類の素材を混ぜて、調整するようにしましょう。

堆肥を投入する際の注意点としては、

1)過剰投入による、肥料過多

2)重金属など有害成分の増加

3)未熟堆肥投入による害

などが主に考えられます。

これらを防止するためには、しっかりと完熟させた堆肥を使い、成分分析をして投入量を決めましょう。

また、前面に鋤き込まずに、局所施肥することも有効でしょう。

参考にした本

農文協 最新農業技術 土壌施肥 vol.7 農文協

西尾道徳 堆肥・有機質肥料の基礎知識 農文協

松崎敏英 土と堆肥と有機物 家の光協会

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