雑穀は体に良いし育てやすいので、是非とも育ててみたい作物ですが、収穫してから食べるまでが大変です。
イネや麦、豆等でしたら機械化が進んでいますが、雑穀はマイナーな作物なので、どうしても手作業が多くなります。
しかし、苦労してできた雑穀の美味しさはまた格別。
少量ならさほど大掛かりな道具を使わなくても何とかなります。
具体的な脱穀方法は、作物によっていますが、大まかな流れは同じです。
ここでは、ヒエ、アワ、キビ、タカキビ、エゴマを対象に、特にエゴマを中心にして脱穀方法について説明します。
安全保護具
具体的な作業に入る前に、まず保護眼鏡(できればゴーグル)、マスク、手袋等の保護具はきちんと着装しましょう。
小枝が目に入ったり、粉塵を吸い込んでじん肺になる危険があります。
写真は、屋外でサングラスを着用しているため、ちょっと怪しいですね。
不審者に間違われないようにしましょう。
作業工程
簡単に作業の流れを書きますと、
株ごと収穫→乾燥→脱穀→選別→水洗→乾燥→選別という手順をとります。
個々の工程について順に述べていきます。
乾燥
どの工程もそうですが、前の工程をしっかり行うと、次の工程が楽にできます。
乾燥をしっかりすると、脱穀が容易になりますので、しっかりと時間をかけて乾燥させます。
天日干しの場合は、二週間くらいはかけたいものです。
株を寝かして乾燥させると、下の方が湿気て腐りやすくなるので、こまめに裏返します。
望ましくは、はざかけ(もの干し竿に洗濯物をかける要領で、竹の棒を組んで、穀物の束をかけて天日干しにする)した方がよいでしょう。
私は、エゴマを家の壁に立てかけて乾燥しています。
雨の時には、ビニールシートで覆います。
脱穀
二週間ほど乾燥させてから脱穀します。
量が少なければ、専用の道具がなくても何とかなります。
例えば、足で踏むとか、棒で叩くとか、こそぎ落とすとかです。
ある程度以上の量があると、脱穀機を使うのが便利です。
私は、何年か前に足踏み脱穀機というものを購入して使っていますがなかなか具合がいいです。
足踏み脱穀機は、作物の種類を選ばないという利点があります。
欠点は、コンバインや機械式の脱穀機等と比べるとやはり能率が落ちることです。
足踏み脱穀機ですと、使った後でもまだ株に実が残っている場合がありますので、仕上げの脱穀もします。
ブルーシートの上に、残さの株や取り出した実を置いて、足で踏みんだり、棒で叩いたり足します。
これは、時間をかければかけるほど沢山取れますが、きりがないので対費用効果を考えて適当なところで妥協しましょう。
選別(1)
脱穀した粒は、小枝や葉などのゴミが混ざっているので、選別します。
選別のしかたは様々です。
フルイ、箕、唐箕など。
一つの道具だけでなく、複数を組み合わせて使うと効果的です。
1)フルイを使う
目開き10mmと5mm、3mmといったさまざまな目のフルイを使います。
私がエゴマで使う時には、最初に粗い目のフルイで大きなゴミを取って、最終的に調整まで終わった後仕上げに小さい目のフルイで仕上げる、といった使い方をしています。
2)箕を使う舌のような形をした竹の容器にゴミの混ざった粒を入れ、両手でもってあおぐように動かします。
これにより、ゴミが風で吹き飛ばされて実が残ります。
上手く実だけ取るのは結構な熟練を要します。
両手を同時に動かさずに、ほんのわずか時間をずらして上下させ、穀物が箕の中でぐるぐる回っているような感じで動かすのがコツなようです。
(写真は、エゴマではなく、小豆を入れたものです)
3)唐箕を使うホッパーからゴミ入りの実を落としつつ、風を送って実だけ選別できます。
私は、写真のような年代物の唐箕を使っていますが、最近は安く市販されているようです。
下に落とす実の量は中央部のレバーで調節するようになっています。
取っ手を回して羽根を回転させながらレバーをあけます。
最初は、殻が沢山あって詰まるので、レバーを回しながら上から手でつまりを取ります。
脱桴
エゴマであれば、ここまでで概ね食べられる状態になりましたが、多くの雑穀では、選別してもまだ殻がついています(米でいえば籾殻に相当します)。
さらに、殻をとってもまだ皮がついています。(米でいえばぬかに相当します)。
脱桴はこのうちの殻を取る工程です。
殻をとるには、望ましくは籾摺り機が欲しいところです。
インペラー式とロール式がありますが、インペラー式の方が使える範囲が広いのでおすすめです。
雑穀のうち、ヒエは外の殻が固くて中の実が柔らかいので、黒蒸し法という方法がよく用いられます。
方法は、まずさらしでヒエを包む
→湯で30分程度ゆでる(中身が膨張して殻が割れる)
→2、3日乾かす(中身が硬くなり皮がはがれやすくなる)
という工程をとってから籾摺りをするそうです。
そうとう面倒そうですね。
また、アワの籾摺りはつるつるしていて滑りやすいので、そのままではうまくできません。
アワとともに、米ぬか(コメ以外の何のヌカでもかまわない)を混ぜておくとうまく摩擦力が増して、籾摺りできるそうです。
その他の雑穀も含め、籾摺り機がない場合は、いきなり精米機でやってしまうことも可能です。
私はタカキビを栽培していますが、精米機だけ行っています。
ただし、雑穀の種類によっては均一に皮が取れなかったり精米機で温度が上がって、風味が悪くなることもあるようです。
精米機もない場合は、一升瓶の中に雑穀を入れて、棒で搗いて殻を取る、というようなことが考えられます。
昔のマンガか何かで、よくありますね。
ただし、この方法は、相当時間がかかって大変です。
水洗、乾燥
エゴマは籾摺はせず、他の雑穀はもみすりと精米の間に、水洗して乾燥しておいたほうがよいです。
これは、砂や小石など、唐箕では選別できない重いゴミを取るためです。
複数の容器と、ざるか目の細かいふるい(できれば2個)を用意します。
エゴマの場合は水に浮くので、洗っては浮いた粒をざるですくって別の容器に移します。
浮いたエゴマが少なくなったら、水を別のざるかふるいを通して流し、最後のかすは捨てます。
写真のように、下には結構なかすが溜まります。
そして、また水を入れて洗い・・・というのを7~8回繰り返します。
洗い終わったら水をよく切って、薄く広げて乾燥させます。
調整、選別
乾燥後、ヌカをとります。
エゴマの場合は、ヌカをとる必要はありません。
最後に手で残ったゴミを取ってようやく仕上がりです。
他の雑穀は、ヌカをとるために、最低限、精米機が欲しいです。
精米機は、できれば循環式精米機が欲しいですが、高いし、場所もとります。
量がわずかであれば家庭用精米機でも何とかなります。
自家製雑穀の美味しさは格別
如何でしょうか?
結構めんどうにも思えるかもしれませんが、専用の農機がなくてもほぼ何とかなります。
私も、初めてエゴマを作ってごはんにふりかけたり、タカキビをご飯に混ぜたりして一口食べたときの美味しさは忘れられません。
是非とも挑戦してみて下さいね。
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